7都府県を対象に緊急事態宣言が発令された。外出自粛の影響で売り上げの急減に悩まされていた飲食店は、日に日に“限界”に近づいている。政府は特別融資や助成金の拡充を行うが、飲食店に残された時間は多くない。
経営者たちの悲痛な叫びを聞いた。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
● 客数が前年比8〜9割減 壊滅状態に追い込まれた飲食店
「3月最後の週末、予約はたったの1件だった。小池(百合子)都知事の外出自粛要請を受け、入っていた予約はほぼすべてキャンセルになってしまった」
都内で30席ほどのイタリア料理店を営むシェフは絶望感をにじませた。毎夜満席が続いていた人気店。
オリンピックイヤーに沸くはずだった今年、予約を断ることはあっても閑古鳥が鳴く週末が来るとは思ってもみなかった。
新型コロナウイルス感染拡大により、飲食店が壊滅的な状態に追い込まれている。
中でも1店舗から数店舗といった小規模の飲食店では、売り上げ急減が存亡の危機に直結する。
来月、再来月の従業員の給料や食材、賃料などの支払いができるかどうか――。経営者は綱渡り状態の日々を送っている。
冒頭のイタリア料理店をはじめ、都内の飲食店に決定的な打撃を与えたのが3月後半の外出自粛要請だ。
3連休には客足に戻りが見られ、安心しかけた店もあったが、
3月25日の都知事の要請を受けて再びパタリと止まった。以降、客数が前年同期比で8〜9割減という店も珍しくない。
そして4月7日、東京都をはじめ7都府県を対象に緊急事態宣言が出された。これを受けて、どのような施設に休業要請が出されるのかが注目されていた中で、
東京都は10日、居酒屋などを含む飲食店に対しては営業時間の短縮を求める方針を発表した。
休業要請の対象にはならなかったが、とはいえ、すでに大幅な客数減が目に見えている。「店を開けるだけロスを生むことになる」
「どれだけ対策していても従業員やお客さまへの感染リスクが防ぎきれない」といった事情から、4月に入って多くの飲食店が臨時休業に踏み切った。
● 「銀座から人が消えた」 人気すし店の苦悩
立地や業態によっては、3月以前からコロナの影響が出ている店もある。
特に、インバウンド需要が大きかった店は、1月末に始まった外国人観光客減少のあおりを受けた。すでに2カ月以上、深刻な売り上げ減少に悩まされている。
「銀座ですし職人をやって24年目になるが、こんなことは初めて」
人気すし店「銀座いわ」の店主、岩央泰氏は、人が消えた銀座の現状をこう話す。
ミシュランガイドに1つ星として掲載されたこともある同店では、来店者の7割程度が外国人観光客だったという。
ホテルのコンシェルジュ経由で予約が入ることも多かった。本来は予約でいっぱいになる桜の季節だが、観光客の激減に伴い予約数も昨年に比べて7割減った。
売り上げが急減する中で、経営を圧迫するようになったのが人件費だ。
7人の従業員のうち5人を3月末で解雇せざるを得なくなった。
先が見えない中でいずれ辞めてもらわざるを得ない状況になるのなら、早くから失業手当がもらえたほうがよいだろうと、苦渋の決断を下した。
「『戻ったら、また一緒にやろう』と声をかけたが、こんなことをした会社に戻ってきてくれるかな……」
岩氏は、やるせない表情を浮かべた。
すでにコロナショックの影響は長期化しているが、終息のめどが立たない。同店は資金確保に動いているものの、「お金を借りられるのが先か、支払期限が先か」(岩氏)と、状況は刻一刻と厳しさを増す。
● 休業で売り上げゼロに 重くのしかかる固定費
今、多くの飲食店経営者の頭を悩ませているのは、人件費や家賃といった固定費だ。店を休もうにも、こうした費用の支払いは毎月やってくる。
なんとか新型コロナウイルスの感染拡大が終息するまで店を持たせようと、経営者は資金繰りに奔走している。
しかし、経営状況が悪化した企業のための地域の特別相談窓口には売り上げの急減に悩む企業から同様の相談が殺到しており
、「4月の初めに区の新型コロナ関連の融資相談窓口に行ったときには、相談の予約が1カ月待ちだった」
「3週間ほど前に雇用調整助成金を申請したが、お金がいつ支払われるかまだめどは立っていない」など、着金の見通しが見えていない店もある。
加えて、飲食の世界はもともと薄利多売の業界だ。無利子・無担保といっても、終息時期の見えない中で支払い費用のためだけの資金を借りるのには抵抗がある人が多い。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200414-00234552-diamond-bus_all&p=2
4/14(火) 6:01配信
経営者たちの悲痛な叫びを聞いた。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
● 客数が前年比8〜9割減 壊滅状態に追い込まれた飲食店
「3月最後の週末、予約はたったの1件だった。小池(百合子)都知事の外出自粛要請を受け、入っていた予約はほぼすべてキャンセルになってしまった」
都内で30席ほどのイタリア料理店を営むシェフは絶望感をにじませた。毎夜満席が続いていた人気店。
オリンピックイヤーに沸くはずだった今年、予約を断ることはあっても閑古鳥が鳴く週末が来るとは思ってもみなかった。
新型コロナウイルス感染拡大により、飲食店が壊滅的な状態に追い込まれている。
中でも1店舗から数店舗といった小規模の飲食店では、売り上げ急減が存亡の危機に直結する。
来月、再来月の従業員の給料や食材、賃料などの支払いができるかどうか――。経営者は綱渡り状態の日々を送っている。
冒頭のイタリア料理店をはじめ、都内の飲食店に決定的な打撃を与えたのが3月後半の外出自粛要請だ。
3連休には客足に戻りが見られ、安心しかけた店もあったが、
3月25日の都知事の要請を受けて再びパタリと止まった。以降、客数が前年同期比で8〜9割減という店も珍しくない。
そして4月7日、東京都をはじめ7都府県を対象に緊急事態宣言が出された。これを受けて、どのような施設に休業要請が出されるのかが注目されていた中で、
東京都は10日、居酒屋などを含む飲食店に対しては営業時間の短縮を求める方針を発表した。
休業要請の対象にはならなかったが、とはいえ、すでに大幅な客数減が目に見えている。「店を開けるだけロスを生むことになる」
「どれだけ対策していても従業員やお客さまへの感染リスクが防ぎきれない」といった事情から、4月に入って多くの飲食店が臨時休業に踏み切った。
● 「銀座から人が消えた」 人気すし店の苦悩
立地や業態によっては、3月以前からコロナの影響が出ている店もある。
特に、インバウンド需要が大きかった店は、1月末に始まった外国人観光客減少のあおりを受けた。すでに2カ月以上、深刻な売り上げ減少に悩まされている。
「銀座ですし職人をやって24年目になるが、こんなことは初めて」
人気すし店「銀座いわ」の店主、岩央泰氏は、人が消えた銀座の現状をこう話す。
ミシュランガイドに1つ星として掲載されたこともある同店では、来店者の7割程度が外国人観光客だったという。
ホテルのコンシェルジュ経由で予約が入ることも多かった。本来は予約でいっぱいになる桜の季節だが、観光客の激減に伴い予約数も昨年に比べて7割減った。
売り上げが急減する中で、経営を圧迫するようになったのが人件費だ。
7人の従業員のうち5人を3月末で解雇せざるを得なくなった。
先が見えない中でいずれ辞めてもらわざるを得ない状況になるのなら、早くから失業手当がもらえたほうがよいだろうと、苦渋の決断を下した。
「『戻ったら、また一緒にやろう』と声をかけたが、こんなことをした会社に戻ってきてくれるかな……」
岩氏は、やるせない表情を浮かべた。
すでにコロナショックの影響は長期化しているが、終息のめどが立たない。同店は資金確保に動いているものの、「お金を借りられるのが先か、支払期限が先か」(岩氏)と、状況は刻一刻と厳しさを増す。
● 休業で売り上げゼロに 重くのしかかる固定費
今、多くの飲食店経営者の頭を悩ませているのは、人件費や家賃といった固定費だ。店を休もうにも、こうした費用の支払いは毎月やってくる。
なんとか新型コロナウイルスの感染拡大が終息するまで店を持たせようと、経営者は資金繰りに奔走している。
しかし、経営状況が悪化した企業のための地域の特別相談窓口には売り上げの急減に悩む企業から同様の相談が殺到しており
、「4月の初めに区の新型コロナ関連の融資相談窓口に行ったときには、相談の予約が1カ月待ちだった」
「3週間ほど前に雇用調整助成金を申請したが、お金がいつ支払われるかまだめどは立っていない」など、着金の見通しが見えていない店もある。
加えて、飲食の世界はもともと薄利多売の業界だ。無利子・無担保といっても、終息時期の見えない中で支払い費用のためだけの資金を借りるのには抵抗がある人が多い。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200414-00234552-diamond-bus_all&p=2
4/14(火) 6:01配信