https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200330-00071457-gendaibiz-soci
恐れていた事態が現実になりつつある。
沖縄県にある米軍嘉手納基地は28日夕、公式フェイスブック(以下FB)で「米兵に最初の新型コロナウイルス患者が出た」と発表した。
続いて同日夜になって、米軍は外務省沖縄事務所と沖縄防衛局を通じて沖縄県に嘉手納基地で「米兵に2人目の患者が出た」と伝え、沖縄県が発表した。
2人の米兵とも海外から戻り、感染がわかったとしているが、性別、年代、基地内居住者か、基地外の居住者かは非公表。
帰国後の行動についても明らかにしていない。
言うまでもなく、新型コロナの爆発的な流行を抑えるには、感染ルートを調べ、濃厚接触者を特定して対処する必要がある。
在日米軍基地は、日本政府にとって不可侵のいわば「聖域」。
米国では感染者が10万人を越えて中国を追い抜き、現状では世界一感染者の多い国となった。
その米国から入国する米兵に対し、日本政府は手も足も出せない。
日本は一般に広がる感染者に加え、「米兵ルート」というもうひとつの感染源を抱えるおそれが出てきた。
■感染者の詳細は一切不明
嘉手納基地が公式FBを通じて、米兵に感染者が出た事実を公表したのは、28日午後4時21分。
また米軍は外務省沖縄事務所に「フェイスブックを見てほしい」と伝え、同事務所は午後4時半ごろ沖縄県へ連絡した。
さらに沖縄防衛局に「海外旅行から戻った米兵1人に感染者が出た」と伝え、沖縄防衛局は沖縄県に午後4時50分に連絡した。
嘉手納基地の公式FBには「最初の感染者を確認した。海外旅行から戻った米兵で、15日間、行動を制限している。濃厚接触者は家族のみだ」とあるが、
いつ、どこから帰国したのかの記載はなく、性別、年齢、居住地も明らかにしていない。
次に米軍は同日午後9時過ぎ、外務省沖縄事務所と沖縄防衛局に2人目の感染者が出た旨を伝達し、これを受けて沖縄県が
「海外から12日に戻った米兵で、16日から行動を制限している」と発表した。
任務だったのか、旅行だったのかは不明だ。
沖縄県は感染防止対策をとる必要性から、米軍側に情報提供を求めた結果、2人とも現在は基地内に隔離され、
濃厚接触した家族も移動制限を受けていることが判明した。しかし、肝心の足どりは2人とも分からないままだ。
■基地からの外出も自由だった
嘉手納基地の3月27日付公式FBには、「米兵による公共交通機関の利用のほか、大勢の人が集まる映画館やバーに行くことを禁止した」などとあるが、
少なくとも2人目の感染者が帰国した12日から行動制限を受ける16日までの4日間、基地からの外出は自由だったことになる。
公式FBで公表された「最初の感染者」については、帰国時期も、隔離の開始時期も明らかにされておらず、帰国後、どのような行動をとったのかも皆目わからない。
沖縄防衛局によると、2人が基地内でPCR検査を受けたのは25日で、28日に陽性が判明したという。
公式FBで「最初の感染者」を発表した日にちと一致するものの、公式FBに「2人目の感染者」についての記載はない。
その後、公式FBの新型コロナ関連では、嘉手納基地司令官のキャリー准将が米兵やその家族に注意を呼びかける動画がアップされたのみである。
これまでに米軍から日本政府や沖縄県、さらに公式FBを通じて伝達された新型コロナに感染した米兵に関する情報は、到底十分とはいえない。
どれほど沖縄県が感染防止に力を入れようとも、米軍基地という「聖域」がある限り、日本は十分な対策を取りようがない。
■日米の協力が不可欠なのに
沖縄県と在日米軍との間には2009年、世界的に流行した新型インフルエンザ対策をめぐり、協力することで合意した過去がある。
新型インフルエンザの沖縄県での流行は遅く、同年6月29日に最初の患者が確認されると、県内や米軍基地内の海外渡航者から罹患者が相次いで確認された。
このことを教訓に沖縄県は
「沖縄県新型インフルエンザ等対策行動計画」をまとめ、米軍基地内の衛生当局と連携し、米兵やその家族らの患者発生状況を把握することを盛り込んだ。
もちろん米軍が了承して策定された行動計画である。
今回は新型インフルエンザではなく、新型コロナウイルスだから「協力の必要はない」という話ではないだろう。
流行病対策には「基地の中(米軍)」と「基地の外(沖縄県)」双方の協力が不可欠なのは、言うまでもない。
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