<感染拡大が続くクオモNY州知事の手腕に注目が集まっている。毎日生中継される記者会見は、先の見えないロックダウンの中にいるニューヨーカーの救いだ>
ドナルド・トランプ大統領の対抗馬を選ぶ民主党の指名争いで、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事の勝利確率が民主党候補のバーニー・サンダース上院議員(バーモント州)を上回った。
クオモは民主党の予備選に出馬していないが、米国の新型コロナ感染が集中しているニューヨーク州で危機対策を主導していることから、クオモに賭ける人が増えている。とはいえ、指名獲得の大本命は、依然としてジョー・バイデン前副大統領だ。
リアル・クリア・ポリティクスがまとめた最新の平均オッズによれば、クオモが大統領選の民主党候補になる確率は5.6%であるのに対し、サンダースは平均3.6%と遅れをとっている。ただしバイデンは、平均85.8%と圧倒的リードを保っている。また、今回の予備選には出馬していないものの、前回の2016年に民主党候補になったヒラリー・クリントンが平均6.3%で2位につけている。
毎日の記者会見が人気
新型コロナウイルスの感染拡大に関するクオモの記者会見は毎日多くのアメリカ人が視聴しており、国家的危機におけるクオモの明快で悪い情報も隠さない率直なアプローチに米国民が救いを見出している。ニューヨーク州は全米でもっとも大きな打撃を受けている地域でもあり、確認された感染者は3万7000人、死者は1000人を超えている。
現在、バイデンは獲得代議員数でサンダースを大きくリードしており、APの集計によれば、その差は300人を超える。最新の世論調査でも、バイデンはサンダースに対して2桁のリードを保ち、民主党予備選の投票がまだおこなわれていない州の調査でも大きくリードしているようだ。サンダースとバイデン以外には、民主党の指名争いで選挙戦を展開している候補者はいない。
だがルール上、「誓約代議員」は必ずしも、州の予備選や党員集会の結果をもとにして候補者に投票しなければいけないわけではない。めったにないことだが、誓約代議員が7月の民主党全国大会で自分の選んだ人に投票することも、厳密に言えば可能だ。だが、それが現実に起きる可能性は低い。というのも、各候補者の選対本部は、自分たちの誓約代議員について発言権をもつからだ。忠実だとは信用できない代議員を、選対本部が選ぶとは考えにくい。
候補者がまだ大勢いた予備選の初期には、「ブローカー・コンベンション(党大会での自由な決選投票)」の可能性も囁かれていた。党大会の開催時までに代議員の過半数を獲得した候補者がいなければ、そうしたシナリオも考えられる。2016年の党大会で巻き起こった議論を受けた規則変更により、2020年の党大会では、特別代議員(特定の候補への投票を誓約していない代議員)が投票できるのは第2回投票以降のみとなる。
とはいえ、第2回投票が実施されるのは、第1回投票で誓約代議員の過半数を獲得した候補がいなかった場合に限られる。現時点では、バイデンが党大会までに必要な過半数を獲得し、そうした事態が起きるのを阻止するだろうと、ほとんどの政治アナリストが予想している。
2020年3月27日(金)18時00分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/post-92899.php