今週、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが相次いで5Gサービスをスタートさせる。
5Gには、通信速度は高速化されて大きなデータのやりとりもスムーズになる「高速大容量」、通信のタイムラグがなくなっていく「超低遅延」、さらに、狭い場所で大量の通信が発生しても処理できる「多数端末接続」という3つの特徴がある。
とはいえ、ネットワークの整備が追いつかない現状では「高速大容量」が中心。4Gスマホから5Gスマホに乗り換えることで「高速大容量」のネットワークが、ごく限られた場所でのみ、享受できることになりそうだ。
ドコモが5Gサービス開始に合わせて発売した対応端末 c時事通信社
さらに、期待外れだったのは、各社が5Gのサービス開始に合わせて発表した、新料金プランだ。
NTTドコモは、4Gの大容量プランから月額500円を値上げした5G向けプランを開始。KDDI、ソフトバンクとも、4Gの大容量プランに加えて月額1000円値上げとなるが、最初の2年間に限っては1000円が無料になるキャンペーンを展開する。
いずれのキャリアも4Gから5Gになることで「値上げ」になるわけだ。
4Gより密に建設しなくてはいけない5G基地局
2018年8月、菅義偉官房長官は「日本における携帯電話の料金は世界に比べて高すぎる。4割値下げできる余地がある」と語っていた。その後、各キャリアは、菅官房長官の発言を受けて、新料金プランを導入。しかし、その新料金プランに移行したとしても、4割の値下げを実感できるものとは程遠かった。菅官房長官の号令は、肩透かしに終わっていたのだった。
そんななか始まった5G。その料金は、値下げはおろか、値上げという菅官房長官の意向とは逆の方向に向かいつつある。
ただ、各キャリアにも言い分はある。
5Gサービスを提供するには、新たに5G用の基地局を建設しないといけない。特に5Gの周波数帯は飛びにくいとされるため、これまでの4G以上に基地局を密に建設する必要があるのだ。
また、キャリアにとって足かせとなっているのが、地方のネットワーク整備だ。総務省は、5Gの特徴を使って、「地方創生」に活かしたいとの狙いがある。そのため、キャリアは、地方の人が住んでいないような場所も5Gエリア化しなくてはいけない。そうした設備投資に莫大な費用がかかるため、その負担は我々ユーザーの通信料金に跳ね返ってきているというわけだ。
高額化する日本の5G端末
5Gサービスを利用するには、5Gに対応したスマホに買い換える必要がある。
3月25日からNTTドコモで発売されたサムスン電子「Galaxy S20 5G」は本体価格10万2960円、シャープ「AQUOS R5G」は11万1672円(いずれも税込、ドコモオンラインショップ)だ。
総務省では、昨年10月に電気通信事業法を改正した。端末販売と通信契約を分離させ、端末の割引に規制をかけたのだった。
なぜなら、菅官房長官が掲げる「4割値下げ」を実現するには、端末販売の割引を規制し、その原資を元に通信費を下げさせるという狙いがあった。そのため、通信契約を伴う端末割引は2万円までに制限されている。
ドコモオンラインショップでも機種変更は5500円しか割引されない。新規契約やMNP(乗り換え)においては、2万ポイントが付与されるのみだ。
5Gにおいて、端末割引はほんのわずかにもかかわらず、通信料金は結局、値上げになった。総務省が描いていた「端末割引を止めさせれば通信料金が下がる」という狙いは、幻想だったことになる。
中国メーカーは3〜4万円台で買える?
キャリアや日本の端末メーカー関係者が危惧しているのは、「このままでは5Gはいつまで経っても普及しない」という焦りだ。
GalaxyやAQUOS、ソニー「Xperia」といった人気ブランドの5Gスマホは10万円程度が相場で割引も効かない。このため、購入するユーザーはかなり限定的だろう。
しかも、4Gから5Gに乗り換えれば「使い放題」のプランにはなっても、料金は値上げとなる。これでは、一般的なユーザーはなかなか手が出ない。
そんななか、「OPPO(オッポ)」や「Xiaomi(シャオミ)」、「ZTE」といった中国メーカーが、続々とキャリアの5G端末のラインナップに採用されてきた。
ソフトバンクはOPPO、 ZTE、KDDIはOPPO、Xiaomi、ZTEを、新料金プランの発表と同時に5G端末として採用している。
https://news.livedoor.com/article/detail/18027717/