兵庫県明石市議会は23日、被害者が死亡した犯罪で、心神喪失などで加害者が刑事責任を問われない場合でも、遺族に特例給付金として20万円を支給できるようにする市犯罪被害者等支援条例改正案を全会一致で可決した。民事裁判でも加害者側の損害賠償責任を立証するのが難しい実情を踏まえた独自の制度で、市によると同様の取り組みは全国初。4月1日に施行する。
市によると、新たに救済対象となるのは、▽殺人事件などの加害者が心神喪失で不起訴や無罪となる▽加害者が14歳未満▽加害者が死亡して相続人もいない――といったケース。市は、犯罪被害者らの経済的な負担軽減のため従前から遺族支援金30万円を支給していたが、条例改正でこれを40万円に引き上げ、特例給付金と合わせると60万円を支給する。
支援条例自体は2011年4月に施行され、市は14年に殺人事件などで損害賠償額が決まったのに加害者側が支払わない場合に市が立て替える制度(上限300万円)を創設した。しかし、心神喪失で加害者が刑事・民事上の責任を問われないケースなどは、救済の網から漏れていた。
今回の条例改正の作業は19年9月に着手。犯罪被害者の遺族や専門家による検討会を開くなどし、当初は心神喪失の場合に限り150万円の特例給付金を支給する案を検討した。その後、市民らの意見も踏まえ、少年事件にも救済対象を広げ、支給額を減らした。
条例改正に関連し、市議会はこの日、被害者基金を創設するための条例案も全会一致で可決した(4月1日施行)。基金は、被害者が多数となるような事件に備え、幅広い寄付の受け皿を作るのが目的。20年度の市の被害者支援関連予算約960万円のうち100万円を基金に積み立てる。【浜本年弘】
毎日新聞2020年3月23日 19時49分(最終更新 3月23日 19時49分)
https://mainichi.jp/articles/20200323/k00/00m/040/263000c
市によると、新たに救済対象となるのは、▽殺人事件などの加害者が心神喪失で不起訴や無罪となる▽加害者が14歳未満▽加害者が死亡して相続人もいない――といったケース。市は、犯罪被害者らの経済的な負担軽減のため従前から遺族支援金30万円を支給していたが、条例改正でこれを40万円に引き上げ、特例給付金と合わせると60万円を支給する。
支援条例自体は2011年4月に施行され、市は14年に殺人事件などで損害賠償額が決まったのに加害者側が支払わない場合に市が立て替える制度(上限300万円)を創設した。しかし、心神喪失で加害者が刑事・民事上の責任を問われないケースなどは、救済の網から漏れていた。
今回の条例改正の作業は19年9月に着手。犯罪被害者の遺族や専門家による検討会を開くなどし、当初は心神喪失の場合に限り150万円の特例給付金を支給する案を検討した。その後、市民らの意見も踏まえ、少年事件にも救済対象を広げ、支給額を減らした。
条例改正に関連し、市議会はこの日、被害者基金を創設するための条例案も全会一致で可決した(4月1日施行)。基金は、被害者が多数となるような事件に備え、幅広い寄付の受け皿を作るのが目的。20年度の市の被害者支援関連予算約960万円のうち100万円を基金に積み立てる。【浜本年弘】
毎日新聞2020年3月23日 19時49分(最終更新 3月23日 19時49分)
https://mainichi.jp/articles/20200323/k00/00m/040/263000c