ファッションや化粧品の有名ブランドを数多く展開するフランスのLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、通常、香水や化粧品を製造している工場でアルコールベースの消毒液を作り始めると発表した。
同社はこの「含水アルコールジェル」を無料でフランスの保健当局に提供するという。
新型コロナウイルスが世界的に大流行し、消費者が買いだめに走る中、アルコールベースの消毒液は世界各地で不足している。
ルイヴィトン(Louis Vuitton)やフェンティビューティー(Fenti Beauty)、ベネフィット・コスメティクス(Benefit Cosmetics)といった有名ブランドを展開するフランスのLVMHは3月15日(現地時間)、通常、香水を製造している工場で手の消毒用ジェルを作ると発表した。
ロイターによると、同社は「LVMHはその香水や化粧品ブランドの製造ラインを使って、16日から含水アルコールジェルを大量生産する」とその声明の中で述べている。
製造した消毒用ジェルは、無料でフランスの保健当局に届けるという。3月16日現在、フランスでは新型コロナウイルスの感染者数が4500人を超え、127人が死亡している。
米疾病予防管理センター(CDC)も新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐツールとして推奨するアルコールベースの消毒液は今、世界各地で不足していて、LVMHの今回の動きはこうした状況を受けてのものだ。ブルームバーグによると、アルコールベースの消毒液不足は、アメリカ食品医薬品局(FDA)による方針転換をもたらした。
アメリカ国内で消毒液が不足する中、FDAは薬剤師や医師に対し、独自に手の消毒液を作って消費者に販売することを奨励した。薬剤師や医師は「素人の」消費者よりも薬剤を作るための基準や方法に詳しいからだという。
消毒液にはアルコール、グリセロール、過酸化水素、滅菌水といった材料を一定量使った消毒液を作るよう、FDAは薬剤師や医師に求めているとブルームバーグは報じている。
Business Insiderが報じたように、ニューヨーク市では先週、手の消毒液が売り切れた後、ある薬剤師が客に対し、独自に手の消毒液を作る方法を教えたが、そのレシピは不正確で、CDCのガイドラインには合致しなかった。
「ティトス・ハンドメイド・ウォッカ(Titos Handmade Vodka)」は2月、顧客に対し、ソーシャルメディアで同社のウォッカを消毒液として使っているという情報がシェアされていることを受け、CDCのガイドラインの下では同社のウォッカを手の消毒液として使用することはできないと知らせなければならなかった。同社のウォッカのアルコール度数は40%で、CDCが要求しているアルコールベースの手の消毒液のアルコール濃度は60%だ。
ニューヨーク州のクオモ知事は3月9日、受刑者の労働力を使って、毎週10万ガロン(約38万リットル)の手の消毒液を作ると発表した。
Mar. 16, 2020, 03:30 PM BUSINESS
https://www.businessinsider.jp/post-209483