飲食店では客が残したマスクの処分に困惑しており、専門家は「他人に感染させるリスクがあるので、むやみに捨てないで」と指摘する。
16日夕の東京・渋谷駅。記者が周辺を1時間ほど歩くと、スクランブル交差点や目抜き通りの歩道、タピオカドリンク販売店の店頭、コインパーキングなどに計7枚のマスクが落ちていた。
近くにあるバーの男性従業員(24)は、テーブルやソファに残されたマスクの処分に頭を抱える。多い日は5、6枚あるといい、「客には持ち帰るようにお願いしているが、置いていく人もいる。営業中は手袋を着けられず、素手でつかまざるを得ない。とても不安だ」と漏らした。
ごみ拾いのボランティア活動にも影響が出ている。国内外でごみ拾いを行うNPO法人「グリーンバード」(東京)は2月下旬から活動を休止した。理由の一つは、捨てられたマスクやたばこの吸い殻に触れることで新型ウイルスに感染するリスクだ。
ボランティアは軍手やトングを使い、手洗いも徹底しているが、感染を完全に防ぐことはできないと判断した。今月11日にスタッフのみで事務局のあるJR原宿駅周辺を約30分間ごみ拾いをした際も、植え込みの中などでマスクが5枚見つかったという。
感染症に詳しい近森病院(高知市)の石田正之医師は「落ちているマスクから感染する可能性もゼロではない」と話す。物に付着した新型ウイルスの生存期間は不明だが、コロナウイルスの中にはプラスチック容器に付着した場合、気温20度で6〜9日間生存するものもあるという。
他人が使用したマスクはなるべく素手で触らず、処分する際は耳に掛ける部分を持つよう勧める。「不要になったマスクは早く外した方が感染リスクを減らせるが、適切に処分してほしい」と話した。
路上に捨てられたマスク=16日午後、東京都渋谷区
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