国立がん研究センターなどは17日、2003〜06年にがんと診断された人の10年後の生存率を発表した。
大腸や胃などがん全体で57・2%で、昨年調査した02〜05年(56・4%)より0・8ポイント改善した。
部位別では、前立腺は100%に近かったが、膵臓(すいぞう)は5・3%で最も低かった。
10年生存率の公表は今回で5回目。同センターなどが全国がんセンター協議会加盟の19施設、約8万人分の患者情報を分析した。
部位別では、前立腺(97・8%)、乳房(85・9%)、甲状腺(84・1%)が高く、胆のう胆道(18%)、肝臓(15・6%)、膵臓が低かった。
10年生存率を巡っては、初公表した1999〜2002年(53・9%)から毎年改善している。
分析した千葉県がんセンター研究所の三上春夫がん予防センター部長は「がん患者が増える中、医療技術の進歩が生存率の延長に着実に結びついている」と推察した。
09〜11年に診断された人の5年生存率について、全国32施設、約14万人分の患者情報を分析したところ、昨年より0・5ポイント改善して68・4%だった。
部位別では前立腺が100%、乳房と甲状腺が90%を超えたが、胆のう胆道、膵臓は30%未満だった。
詳細は全国がんセンター協議会のウェブサイト( http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/ )で確認できる。
がん生存率
がんと診断された患者が一定期間生存する割合。
治療効果を判定する指標となる。
がん以外の病気や事故によって亡くなる割合を取り除いた「相対生存率」が主に使われている。
治癒の目安とされる5年後の生存率のほか、治療成績のよいがんでは長期に再発などをみる必要があり、10年生存率が重要な目安となる。
https://mainichi.jp/articles/20200317/k00/00m/040/067000c