元理事長らによる巨額横領事件が起きた、学校法人「明浄学院」(大阪府熊取町)は16日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。負債は約7億6000万円に上り、当面の運転資金の確保が困難になったという。運営する大阪観光大(同)と明浄学院高(大阪市阿倍野区)は従来通り存続する予定で、法的手続き下での経営再建を目指す。
法人は内部対立で混乱が続いており、地裁が3月4日付で理事長らの職務を停止。職務を代行している弁護士が16日に民事再生を申し立て、地裁は債務の支払いなどをいったん停止する「保全管理命令」を出した。
選任された保全管理人側によると、法人では土地売却を巡る手付金21億円が横領された上、校舎の解体工事などの費用が拡大。教職員の給与などの運転資金が一時的に不足する見通しだった。
記者会見した管理人側の北野知広弁護士は「破産とは違い、事業を継続するための手続きだ」と強調。「従来の理事らではなく、管財人による事業再生が必要だ」と述べた。借り入れで資金調達し、経営を安定化させる考えという。
今後、地裁が再生手続きを開始するか判断する。資金援助を申し出ている企業グループもあり、並行して協議を進める。
現在の学生・生徒数は観光大が783人、明浄学院高が377人に上る。4月にはそれぞれ308人、70人が入学予定で、授業はそのまま続ける見通し。校舎などは維持し、教職員も原則、雇用を続けるという。
法人を巡っては、元理事長の大橋美枝子被告(62)らが高校の土地売却の手付金21億円を着服したとして業務上横領容疑で大阪地検特捜部に逮捕、起訴された。【松本紫帆】
https://mainichi.jp/articles/20200316/k00/00m/040/166000c
明浄学院横領、容疑の1部上場不動産会社社長を逮捕 大阪地検特捜部
https://mainichi.jp/articles/20191216/k00/00m/040/190000c