「桜は待ってくれている」 避難指示解除の瞬間、決意新たに 福島・富岡
毎日新聞 2020年3月11日 10時39分(最終更新 3月11日 10時39分)
https://mainichi.jp/articles/20200311/k00/00m/040/027000c
避難指示が解除された道路から、帰還困難区域内の自宅跡を見つめる中畑菜々美さん=福島県富岡町夜の森北で2020年3月10日、渡部直樹撮影
10日午前6時、福島県富岡町のJR常磐線夜ノ森駅や名所として知られる駅前の桜並木の一部など、福島第1原発事故による帰還困難区域のうち計約7ヘクタールで避難指示が解除された。14日には常磐線も全線再開する。ゲート前には町民や町関係者が集まり、解除の瞬間を見届けた。
まちづくり会社「とみおかプラス」の佐々木邦浩事務局長(47)は「また一歩踏み出した。桜は待ってくれている。我々もまちづくりを頑張らないといけない」と話した。
今回はインフラが未整備であることなどを理由に、解除区域以外の立ち入り制限は緩和されていない。
事故当時、夜ノ森駅から200メートルほど離れた自宅に住んでいた、富岡町職員の中畑菜々美さん(22)は、解除後、開花間近の桜並木を歩き「毎年咲き続ける桜があるからここに帰ってこられると感じる」と話した。
当時の自宅はすでに解体し、両親はいわき市に家を建て住んでいる。今回の解除で自宅の前までは自由に入れるようになったが、敷地自体はまだ避難指示の区域内。雑草の生えた敷地を金網越しにみつめ「まだやれることはたくさんある」と決意を新たにした。【渡部直樹】