https://twitter.com/miura_hideyuki/status/1236433768409268224?s=19
@昨日、安倍首相に質問した。本人はちょっとびっくりしていたが、結果的に私の質問に答えた。内容は彼が五輪誘致時、福島第一原発を「アンダーコントロール」とした発言について。職業倫理の許す範囲でツイートしようと思う
A実は安倍首相は昨日、福島県に来た。全線開通を控えたJR常磐線や避難指示が解除された双葉駅、浪江町にできた水素研究施設などの開所式に出席。行く先々で地元メディアに大々的に報道された
Bコロナウイルスへの対応に多くの批判が集まる中での来県だ。個人的には、福島の前向きな動きと一緒に露出することで自らのイメージ回復を狙いたい思惑が透けて見えたが、それでも原発被災地を取材する記者としては、震災9年の現場を見てもらうことは悪くないと思っていた
C疑問を感じたのは「最後の行事」だ。安倍首相は浪江町での水素施設の開所式出席後、記者の「ぶら下がり」(簡略的な記者会見)に応じると聞いていた。でも広報担当者に聞くと、参加できるのは東京から随行してくる官邸の記者だけで、地元の記者は参加できないのだという
D安倍首相が視察に来るのは東京ではなく福島だ。浪江町は私の持ち場だ。ここには原発事故以来9年間、原発被災地の日常を見続けてきた記者がいる。現地を最も良く知る記者が現地を視察に来る為政者に質問するのは当然だと思ったが、広報に聞いてもぶら下がりの時間も場所も教えてくれない
E浪江町の水素施設の開所式に、安倍首相は自ら燃料電池車を運転して登場した。その直前、総理番の集団が会場に到着した。首相が壇上に登ってスピーチを終えた後、その一群が誰かに連れられて別の場所へと移動した。だから私はそれとなく後ろを着いていった
F一群は式典が開かれている施設の裏で首相の来訪を待った。私は誰からも制されず、許可のいる場所にも立ち入っていない。everything gonna be alright だから機会があれば思い切って質問しようと思った。狙いは1点。彼が五輪誘致時に発言した「アンダーコントロール」という表現について
G2013年、安倍首相は福島第一原発の状態を「アンダーコントロール」という言葉を使って東京五輪を誘致した。正直驚いた。第一原発の深部にはその直前に入ったが、とても「アンダーコントロール」と呼べるような状態ではなかったから。これはちょっとマズいことになるな、と個人的には思っていた
H福島で取材を続けて2年半、その「アンダーコントロール」という言葉が今も亡霊のように漂っているのを感じる。「『復興五輪』があるから」「原発はアンダーコントロールだと首相が言ったから」。復旧や原発をめぐる現場では五輪に影響を与えるような言動がしにくい環境が今確かに福島にある
I安倍首相はSPに連れられて現れた。総理番が用意した質問1問に約4分、予定調和的に官僚作文のような見解を述べた。直後に広報が「終わります」と宣言し、首相は立ち去ろうとした。だから私は手を上げて「地元・福島の記者です。質問をさせてください」と冷静に大きな声で言った
Jすると安倍首相は2、3歩戻り、再びカメラの前に立ったのだ。正直、意外だった。ネット上ではコロナウイルス対策への十分な説明をしないで質問をたった5問で打ち切った先月29日の記者会見が大きな非難を呼んでいる。それを気にしているのではないかと個人的には感じた
K私は質問を切り出した。「ここ福島でオリンピックが開かれます。安倍首相はオリンピックを招致する際、第一原発は『アンダーコントロールだ』と言いました。今でも『アンダーコントロール』だとお考えでしょうか」。もちろん事前通告などあるはずがない
L安倍首相は一瞬怪訝そうな顔をしましたが、すぐに表情を戻し、「まさにそうした発信をさせていただきました。色々な報道がございました。間違った報道もあった。その中で正確な発信を致しました。そしてその上においてオリンピックの誘致が決まったものと思います」と述べ、SPに囲まれて立ち去った
M回答を聞く限り、安倍首相は、第一原発の危険性を指摘する一部の報道は間違いであり、原発はアンダーコントロールである、私は正しい発信をし、五輪の誘致が決まった、と主張したと理解できた。私はもう1問尋ねたかったが、できなかった。実力不足。あるいは望月記者なら続けられたかもしれない
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