要望受け変更
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、全国の知事・市長がマスク姿でマスコミの前に登場する機会が増えた。一方、高知県の浜田省司知事や岡ア誠也高知市長は3月1日からマスクを外して会見している。県民からは「着用すべきでは」「マスク姿は恐怖をあおる」と賛否両論あったが、これ、実は聴覚障害者のための配慮という。当事者の声を聞いた。
高知県内でコロナウイルス感染が初めて確認された2月29日、浜田知事はマスク姿でマスコミの前に現れた。テレビ中継を見ていた高知県聴覚障害者情報センターの西村周二所長は当惑した。「手話通訳も、字幕もない。口の動きも見えない。これでは何を言っているか分からない」。それは耳が不自由な人たちの声を代表したものだった。
聴覚障害者のLINE(ライン)グループに知事の発言を手話通訳した動画が回り、メンバー同士で理解を深めたという。その後、仲間で「知事が会見で話している時だけでもマスクを外してもらえないか」と県に要望。それを受け、浜田知事も岡ア市長も1日からマスクなしで会見するようになった。
難聴者は口の動きや顔の表情も頼りにするため、マスクはコミュニケーションの障害になる。「マスク越しでは高齢者も聞き取りづらいでしょう」と高知市の50代の聴覚障害の女性。自らは一対一の対話なら、口の動きで会話内容の大半が分かるという。
これまでも日常生活に支障があった。病院の待合室や銀行窓口で名前を呼ばれても、相手がマスクなら言っていることが分からないからだ。「花粉症と違い、今は感染予防のマスク。会話時に外してとは言いにくい」と女性は遠慮気味に語る。
コロナウイルスに関する自治体の相談窓口案内は、電話番号のみ記載のケースも多い。西村所長はこう語る。
「災害時に障害者は情報が取りにくい。見過ごされてしまうことも。多くの人が少しでも、理解を深めるきっかけになればと思う」(村瀬佐保)
2020.03.06 08:38
https://www.kochinews.co.jp/article/350926
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、全国の知事・市長がマスク姿でマスコミの前に登場する機会が増えた。一方、高知県の浜田省司知事や岡ア誠也高知市長は3月1日からマスクを外して会見している。県民からは「着用すべきでは」「マスク姿は恐怖をあおる」と賛否両論あったが、これ、実は聴覚障害者のための配慮という。当事者の声を聞いた。
高知県内でコロナウイルス感染が初めて確認された2月29日、浜田知事はマスク姿でマスコミの前に現れた。テレビ中継を見ていた高知県聴覚障害者情報センターの西村周二所長は当惑した。「手話通訳も、字幕もない。口の動きも見えない。これでは何を言っているか分からない」。それは耳が不自由な人たちの声を代表したものだった。
聴覚障害者のLINE(ライン)グループに知事の発言を手話通訳した動画が回り、メンバー同士で理解を深めたという。その後、仲間で「知事が会見で話している時だけでもマスクを外してもらえないか」と県に要望。それを受け、浜田知事も岡ア市長も1日からマスクなしで会見するようになった。
難聴者は口の動きや顔の表情も頼りにするため、マスクはコミュニケーションの障害になる。「マスク越しでは高齢者も聞き取りづらいでしょう」と高知市の50代の聴覚障害の女性。自らは一対一の対話なら、口の動きで会話内容の大半が分かるという。
これまでも日常生活に支障があった。病院の待合室や銀行窓口で名前を呼ばれても、相手がマスクなら言っていることが分からないからだ。「花粉症と違い、今は感染予防のマスク。会話時に外してとは言いにくい」と女性は遠慮気味に語る。
コロナウイルスに関する自治体の相談窓口案内は、電話番号のみ記載のケースも多い。西村所長はこう語る。
「災害時に障害者は情報が取りにくい。見過ごされてしまうことも。多くの人が少しでも、理解を深めるきっかけになればと思う」(村瀬佐保)
2020.03.06 08:38
https://www.kochinews.co.jp/article/350926