新型コロナウイルスによる学校の一斉休校を受け、乳業メーカーでは、学校給食用牛乳の生産を縮小している。生乳を一般向けの製品に振り替え、影響を最小限にする対応に追われている。
茨城県古河市のトモヱ乳業では、茨城や埼玉県内の小中学校などに日量16万5000本(1本=200ミリリットル)を出荷していたが、5日は8600本の出荷にとどまった。
通常は1時間当たり約8000本処理できる給食専用の製造ライン3本が10時間稼働。しかし、同日は1ラインが1時間稼働しただけ。稼働準備と処理後の洗浄・殺菌作業に計4時間かかり、生産コストも跳ね上がる。休校による損失は約4000万円を見込んでいる。
同社は、仕入れた生乳を一般販売用の商品に振り替えている。同社の小川澄男専務は「生乳の仕入れ量はほぼ維持しているが、休校が長期化すれば減らさざるを得ないだろう」と見通す。
牛乳が余って値崩れすれば、生産者にも影響が及ぶとし、「家庭での一層の消費をお願いしたい」と話す。
指定団体メーカー牛乳仕向先調整へ 家庭での消費喚起が鍵
全国一斉休校に伴い、学校給食用牛乳(学乳)に使われる生乳の行き先がなくなったことで、各地域の指定団体と乳業メーカーが対応に追われる。生乳廃棄が発生しないよう、加工原料向けなど仕向け先の調整が進む。メーカーの受け入れ態勢は整いつつあるが、飲用に比べて加工用は乳価が安くなるなど課題がある。関係者からは、家庭での牛乳やヨーグルトの消費喚起が重要との声が聞こえる。
関東生乳販連は、管内の日量500トンの学乳分を、メーカーと調整しながら市販の牛乳類や、加工向けに販売する。「鮮度が求められる牛乳などに優先的に仕向けている」(同生乳販連)。休校直前の週末は一時的に牛乳需要が高まったが、消費動向は日々変わるため「飲用、加工の仕向先は当面、走りながら調整するしかない」(同)と緊張感が続く。
北海道では、ホクレンが販売する生乳から道内のメーカーが乳製品(バター・脱脂粉乳、生クリーム、チーズなど)を製造する。大手乳業の乳製品工場が集中する地域だけに、「メーカーの処理量にはまだ余裕があり、廃乳の恐れはない」(ホクレン)。
ただ、脱脂粉乳は国内の在庫量が過剰気味だ。脱脂粉乳を原料に使うヨーグルトなどの消費が伸びなければ、生乳の振り向け先としては限界がある。業界関係者は「牛乳を使うレシピの問い合わせが増えている。乳製品も含めて家庭での消費喚起に業界一丸で取り組む必要がある」と話す。
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