ポイント1:自粛ムードは「東日本大震災」時と似ている
永濱氏によると、今回の新型コロナの自粛の動きは、2011年の東日本大震災直後のムードと似ているという。当時は福島第一原発の事故や首都圏の計画停電などの影響で、外出の自粛やイベントの中止が相次いだ。
今回は、政府がスポーツ・文化イベントなどの今後2週間の開催自粛を要請。大規模なスポーツイベントやコンサート・演劇などの主催者が続々と中止を表明している。イベントなどが中止になり、感染を遅れて外出を控える人が増えれば、その分、お金を使う人も減っていく。
東京ディズニーランドが臨時休園を決めたと思ったら、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)も休園を決定する。ドミノのように経済の動きが止まっていくのも特徴だ。
永濱氏の試算によると、2011年の東日本大震災では直後に計画停電などの影響もあり、国内の家計消費は震災後半年で約2兆2000億円ほど押し下げられた。
今回は、震災後並みの自粛となった場合の家計消費は、半年で2兆3000億円以上減少することになると見ている。
ポイント2 :海外観光客の減少が心配。在宅サービスは特需の可能性も
海外からの観光客によるインバウンド関連の経済も大きな影響を受ける見通しだ。3四半期で1兆円ほどサービス輸出が下押しされる可能性があるという。永濱氏は「インバウンドやサプライチェーンへの影響もあり、震災後よりも影響は大きくなる可能性がある」と指摘する。
自粛の影響を受ける可能性がある分野は、宿泊や運輸、小売、レジャー、外食、旅行、イベント関連等が想定される。
一方、宅配や通販、テイクアウト、テレビ、ゲームなど自宅で利用できるサービスや、 テレワーク・通信などの在宅勤務関連の分野は特需が発生する可能性もあるとしている。
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ポイント3:消費増税とのダブル打撃に注視を
新型コロナウイルスの影響以外にも、足を引っ張るのは、2019年10月に実行された消費増税だ。消費税が上がったことで、節約志向が高まり、買い控えも広がっていった面がある。
2月17日に発表された2019年10―12月期のGDP(国内総生産)は、5四半期ぶりにマイナス成長となった。年率換算ではマイナス6.3%で、2014年の消費増税時の7.4%に次ぐ下げ幅となった。
永濱氏は「前々期比で比較すると、今回は年率マイナス3%で、前回が年率マイナス1.8%。前回は駆け込み需要があったために大きく下がったように見えるが、実質は今回の方がマイナスとなっている」と指摘。
「そもそもの問題はインバウンドに頼らざるを得ない日本経済の長期停滞で、やせ我慢をして消費税を引き上げたのが全ての要因だ」と強調した。
ここ十数年の日本経済の3大ショックとして、リーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)、消費増税(2014年)が挙げられるが、回復までに要した時間がもっとも長いのは「消費増税」だったという。
「今回はそこに新型コロナウイルスが直撃した。3大ショックのうちの2つが一度にきたようなものだ」と語った。
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「政府は感染拡大の防止に全力を」
「不安を煽るような報道が経済に悪影響を与えている部分もある。冷静に、正しく恐れるような情報発信をするべきだ」とメディアに対して苦言も呈した永濱氏。
今後の見通しについて、「経済は、不安や期待など気持ちで動く部分が大きいので、感染がピークアウトしないと状況は落ち着かない。まずは、政府は感染拡大を一刻も早く食い止めることに全力を尽くすべきだ」といい、イベント自粛などを求める政府の対応に一定の理解を示した。
「とはいえ、日本国内が収束しても世界的なパンデミックになれば世界経済に足を引っ張られることになる」とも指摘。感染拡大がおさまらなければ、今年の夏の東京五輪・パラリンピックの中止の可能性もあり、さらなる打撃は必至だ。ワクチンの開発やウイルスの封じ込めなど世界各国が連携して対策に当たることが大事だという。
2/29(土) 12:06配信 全文はソース元で
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