2016年の開館から毎年多彩な催しを開いてきた長野市芸術館の20年度自主事業が、当初予定の半数以下になる可能性のあることが29日、分かった。指定管理者の市文化芸術振興財団で常勤職員の3割が相次いで退職の意向を示しているため。公演日程や内容は既に調整が進んでおり、新年度間際の混乱は波紋を広げそうだ。
芸術館の運営管理実施計画では自主事業の目安を年70本程度とし、16年5月の開館以降、この水準以上を保ってきた。昨年11月の財団理事会でも20年度は80本超の予定が示され、市は新年度一般会計当初予算案に、指定管理料など約3億8千万円(前年度比2千万円減)を計上している。
それがここにきて、自主事業を7割ほど減らす案が浮上。財団事務局は状況が流動的として詳細を明らかにしていないが、国内外で活躍する音楽家の公演や子ども向けコンサートなどが縮減されるもようだ。理事長の樋口博副市長は「(準備が)不足しているものを出すわけにはいかない」と説明する。市は、芸術館の理念の一つの市民参加を守るためとして、小中高校生の「ジュニア合唱団」などは続けるよう財団に求めているという。
背景にあるのは職員不足への懸念だ。財団によると、1月末時点の職員数は29人。うち常勤は22人だが、3月末までに7人が退職の意向。職員補充の見通しは立っておらず、制作担当者を4人から2人に減らす職員の配置転換が検討されているという。
市と財団は、館の経理や貸し館業務の担当を補充しないと「館自体の運営が立ちゆかず、市民に迷惑が及ぶ」と説明。だが職員からは、自主事業の多くがキャンセルとなれば内外の関係者への影響が大きく、「非効率で不合理な配置だ」と制作担当者の削減に疑問の声を上げている。
財団では昨年夏、山本克也総支配人の言動に精神的な苦痛を受けたとして職員が改善を求める動きが表面化し、樋口理事長が総支配人を厳重注意。山本総支配人は19年12月、「家庭の事情」として辞表を提出した。
18年4月の就任から既に職員6人が退職し、加えての今回の事態に、現在も勤務している山本総支配人は「当人のキャリアアップなども背景にある。契約方法や条件が他の施設と比べて特段に悪いとは感じていない」とし、自主事業についても「100%やるつもりでぎりぎりまで調整をしている」と話している。
(3月1日)
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200301/KT200226FTI090054000.php
芸術館の運営管理実施計画では自主事業の目安を年70本程度とし、16年5月の開館以降、この水準以上を保ってきた。昨年11月の財団理事会でも20年度は80本超の予定が示され、市は新年度一般会計当初予算案に、指定管理料など約3億8千万円(前年度比2千万円減)を計上している。
それがここにきて、自主事業を7割ほど減らす案が浮上。財団事務局は状況が流動的として詳細を明らかにしていないが、国内外で活躍する音楽家の公演や子ども向けコンサートなどが縮減されるもようだ。理事長の樋口博副市長は「(準備が)不足しているものを出すわけにはいかない」と説明する。市は、芸術館の理念の一つの市民参加を守るためとして、小中高校生の「ジュニア合唱団」などは続けるよう財団に求めているという。
背景にあるのは職員不足への懸念だ。財団によると、1月末時点の職員数は29人。うち常勤は22人だが、3月末までに7人が退職の意向。職員補充の見通しは立っておらず、制作担当者を4人から2人に減らす職員の配置転換が検討されているという。
市と財団は、館の経理や貸し館業務の担当を補充しないと「館自体の運営が立ちゆかず、市民に迷惑が及ぶ」と説明。だが職員からは、自主事業の多くがキャンセルとなれば内外の関係者への影響が大きく、「非効率で不合理な配置だ」と制作担当者の削減に疑問の声を上げている。
財団では昨年夏、山本克也総支配人の言動に精神的な苦痛を受けたとして職員が改善を求める動きが表面化し、樋口理事長が総支配人を厳重注意。山本総支配人は19年12月、「家庭の事情」として辞表を提出した。
18年4月の就任から既に職員6人が退職し、加えての今回の事態に、現在も勤務している山本総支配人は「当人のキャリアアップなども背景にある。契約方法や条件が他の施設と比べて特段に悪いとは感じていない」とし、自主事業についても「100%やるつもりでぎりぎりまで調整をしている」と話している。
(3月1日)
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200301/KT200226FTI090054000.php