アメリカのハワイ島に世界最大級の反射望遠鏡を建設する計画が地元住民の反対によってストップしているため、文部科学省は7年前から予算に計上してきた整備費を新年度の予算案には計上しなかったことがわかりました。国の学術研究の大型プロジェクトの費用計上が途中で途切れるのは異例だということです。
アメリカ・ハワイ島の山の頂上に世界最大級の直径30メートルの反射望遠鏡「TMT」を建設する計画は日本やアメリカなど5つの国の天文台や大学などが国際プロジェクトで進めていて、日本は2012年度から整備費を計上してきました。
しかし、ハワイの地元住民の反対運動で計画がストップしていることから、文部科学省は概算要求でおよそ31億円としていた施設の整備費を新年度の予算案には計上しなかったことがわかりました。
文部科学省によりますと、国の学術研究の大型プロジェクトの施設整備費の計上が途中で途切れるのは異例だということです。
日本は望遠鏡に使用する574枚の鏡を製造することになっていますが、まだ完成していない200枚以上の製造が中断するおそれがあるということです。
一方、プロジェクトを維持するための国際分担金およそ6億円は予算計上されました。
文部科学省は「プロジェクトの意義は揺らいでいないので、現地の状況を確認しながら今後の予算を検討したい」としています。
国立天文台の担当者は「現時点では計画全体への影響は小さいものの、早く建設が再開できるよう、より多くの地元住民に理解を求めていきたい」としています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200229/k10012307311000.html
https://tmt.nao.ac.jp/