2020年2月14日 / 13:33
ブログ:最後の拠点陥落から1年、「イスラム国」生存者は今
https://jp.reuters.com/article/mideast-crisis-syria-prisoners-idJPKBN2080D5
[カーミシュリー(シリア) 12日 ロイター] - イスラム国(IS)最後の拠点が陥落してから1年近く。シリア北東部の刑務所・収容キャンプでは、ISに所属していた子どもを含む数千人の男女が、今も先の見えない不安な暮らしを送っている。
カーミシュリー市周辺の地域は、イスラム主義武装グループISを打倒する際に戦功のあったクルド人武装勢力がもっぱら支配している。IS打倒後、クルド人武装勢力は、彼らを安全保障上の脅威とみなしているトルコ主導の勢力により、シリア北東部の狭い地域に押し込められてしまったのだ。
クルド人武装勢力は、IS崩壊後に捕虜になった人々に対応するという重荷を引き受けることになった。捕虜たちのなかには、中東地域に自称「カリフ国」を樹立するために現地戦闘員とともに戦った数百人の外国人も含まれている。
ISの戦闘員は2014年以降の全盛期に何千もの人々に拷問・処刑を行ってきた。その生き残りにどう対処するかは、対IS戦闘に参加した各国にとっては難題だ。
たとえば欧州諸国の多くは、世論の反発を恐れて、ISに参加した自国民を帰還させることを躊躇している。クルド人武装勢力のもとでシリアで捕虜になっているIS戦闘員約1万人のうち、5分の1は欧州出身者だ。
クルド人当局者は、多数の捕虜や収容キャンプ内の家族について、適切な拘禁、取り調べ、訴追を行うだけのリソースがないと話している。彼らは、自国民を引き取るよう各国に繰り返し要請している。
「私たちに今後、どんな運命が待ち構えているのか」。シリア出身のIS戦闘員で、クルド人勢力によりカーミシュリー南方の都市ハサカ近郊の刑務所に収容されているマフムード・モハメッドさんは言う。
「シリア国内であれ国外であれ、家族が生きているのか死んでしまったのかも分からない。自分にどのような刑罰や運命が待っているのかも知りたい」とモハマッドさんは訴えた。
※中略
ハサカ近郊の刑務所は、捕虜の増加に対応するために、かつて学校として使われていた施設を改装したもので、ハサカ中心部の刑務所に比べてひどく劣悪な環境だ。
ロイターの記者たちは、1つの監房に男性の収容者50人以上がスシ詰め状態で横になっており、ほとんど動く余地もないのを目撃した。自然光は最小限しか射しこまず、空気は汗と埃の臭いでよどんでいる。
1階には病室があり、100人ほどの男性収容者が病気や怪我の苦痛に耐えつつ、人数の半分ほどしかないベッドにひしめき合っている。中には、ISが処刑する前の捕虜によく着せていたオレンジ色のつなぎを着ている者もいる。
刑務所以外にも、この地域では女性・子どもを中心とする数千人が収容キャンプに拘束されている。
※中略
取材に応じてくれた1人の女性は名前を明かさないまま、ぎこちない英語で、もともとは香港出身だがイスラム国に参加するために中東に来た、と語った。
よちよち歩きの息子を連れた彼女は、「子どもが1人。夫はバグズで死亡した」と言う。バグズはシリア東部、イスラム国の最後の拠点となった町で、昨年春、米軍の支援を受けたクルド人勢力の攻撃で陥落した。
この女性は、香港に残る家族とは連絡を取っているが、戻りたいとは思わないと話す。
「ここでの状況が非常に厳しいことは分かっている。家とは呼べず、ただのテントだ。(略)でも私たちは皆、アラー(のご意志)に従って生きている。神の思し召しなのだから、何も問題はない」。
ブログ:最後の拠点陥落から1年、「イスラム国」生存者は今
https://jp.reuters.com/article/mideast-crisis-syria-prisoners-idJPKBN2080D5
[カーミシュリー(シリア) 12日 ロイター] - イスラム国(IS)最後の拠点が陥落してから1年近く。シリア北東部の刑務所・収容キャンプでは、ISに所属していた子どもを含む数千人の男女が、今も先の見えない不安な暮らしを送っている。
カーミシュリー市周辺の地域は、イスラム主義武装グループISを打倒する際に戦功のあったクルド人武装勢力がもっぱら支配している。IS打倒後、クルド人武装勢力は、彼らを安全保障上の脅威とみなしているトルコ主導の勢力により、シリア北東部の狭い地域に押し込められてしまったのだ。
クルド人武装勢力は、IS崩壊後に捕虜になった人々に対応するという重荷を引き受けることになった。捕虜たちのなかには、中東地域に自称「カリフ国」を樹立するために現地戦闘員とともに戦った数百人の外国人も含まれている。
ISの戦闘員は2014年以降の全盛期に何千もの人々に拷問・処刑を行ってきた。その生き残りにどう対処するかは、対IS戦闘に参加した各国にとっては難題だ。
たとえば欧州諸国の多くは、世論の反発を恐れて、ISに参加した自国民を帰還させることを躊躇している。クルド人武装勢力のもとでシリアで捕虜になっているIS戦闘員約1万人のうち、5分の1は欧州出身者だ。
クルド人当局者は、多数の捕虜や収容キャンプ内の家族について、適切な拘禁、取り調べ、訴追を行うだけのリソースがないと話している。彼らは、自国民を引き取るよう各国に繰り返し要請している。
「私たちに今後、どんな運命が待ち構えているのか」。シリア出身のIS戦闘員で、クルド人勢力によりカーミシュリー南方の都市ハサカ近郊の刑務所に収容されているマフムード・モハメッドさんは言う。
「シリア国内であれ国外であれ、家族が生きているのか死んでしまったのかも分からない。自分にどのような刑罰や運命が待っているのかも知りたい」とモハマッドさんは訴えた。
※中略
ハサカ近郊の刑務所は、捕虜の増加に対応するために、かつて学校として使われていた施設を改装したもので、ハサカ中心部の刑務所に比べてひどく劣悪な環境だ。
ロイターの記者たちは、1つの監房に男性の収容者50人以上がスシ詰め状態で横になっており、ほとんど動く余地もないのを目撃した。自然光は最小限しか射しこまず、空気は汗と埃の臭いでよどんでいる。
1階には病室があり、100人ほどの男性収容者が病気や怪我の苦痛に耐えつつ、人数の半分ほどしかないベッドにひしめき合っている。中には、ISが処刑する前の捕虜によく着せていたオレンジ色のつなぎを着ている者もいる。
刑務所以外にも、この地域では女性・子どもを中心とする数千人が収容キャンプに拘束されている。
※中略
取材に応じてくれた1人の女性は名前を明かさないまま、ぎこちない英語で、もともとは香港出身だがイスラム国に参加するために中東に来た、と語った。
よちよち歩きの息子を連れた彼女は、「子どもが1人。夫はバグズで死亡した」と言う。バグズはシリア東部、イスラム国の最後の拠点となった町で、昨年春、米軍の支援を受けたクルド人勢力の攻撃で陥落した。
この女性は、香港に残る家族とは連絡を取っているが、戻りたいとは思わないと話す。
「ここでの状況が非常に厳しいことは分かっている。家とは呼べず、ただのテントだ。(略)でも私たちは皆、アラー(のご意志)に従って生きている。神の思し召しなのだから、何も問題はない」。