開票速報を受けた演説で、支持者の歓声を浴び笑顔を見せるエイミー・クロブシャー上院議員(中央)=米東部ニューハンプシャー州コンコードで11日、高本耕太撮影
11日に投開票された米大統領選の民主党候補指名争い第2ラウンド、東部ニューハンプシャー州予備選では、中西部ミネソタ州選出のエイミー・クロブシャー上院議員(59)が3位に入る躍進を見せた。候補者テレビ討論会での活躍をきっかけに最終盤で一気に支持を拡大。11日夜の演説では「私たちは予想を覆した」と興奮気味に語った。
ミネソタ州選出初の女性上院議員として3期目。ピート・ブティジェッジ前サウスベンド市長(38)らと同じ穏健派だが、急進左派と穏健派の路線闘争からは距離を置く。
演説で繰り返すキーワードは「グリット(根性)」。鉱山労働者の孫との経歴を強調し、自分こそが2016年大統領選で共和党のトランプ氏支持に流れた白人労働者層の代弁者と訴える。
これまで「5番目」の候補とみられていたが、潮目が変わったのは7日に開かれたテレビ討論会だ。急進左派のバーニー・サンダース上院議員(78)を念頭に、社会主義者が党を率いることに「懸念はあるか」との問いにただ一人挙手。ブティジェッジ氏には「『ワシントン政治』批判は受けがいいだろうが、困難な状況でやり抜くのが真のリーダーだ」と迫った。
討論会で存在感を示したことで、メディアの注目度もアップ。直後の週末だけで300万ドル(約3億3000万円)の献金が集まった。クロブシャー氏の急激な勢い(モメンタム)の拡大にネット上では「クロメンタム」という造語も生まれている。
11日夜、ニューハンプシャー州の州都コンコードで開かれた「勝利パーティー」に参加したアンティーク店経営のダン・リディさん(65)は「投票先を決めかねていたが、討論会が決め手だった。落ち着きや自信ある振る舞いが素晴らしかった」と称賛した。
「私は一番有名な候補でも一番裕福な候補でもない。新鋭でもない。でも私は人々のために戦ってきた実績があります」。クロブシャー氏は会場を埋めた聴衆にそう語り、満面の笑みを見せた。【コンコード(米東部ニューハンプシャー州)高本耕太】
毎日新聞 2020年2月12日 18時44分
https://mainichi.jp/articles/20200212/k00/00m/030/170000c?inb=ra