トヨタグループでは、例えば豊田自動織機は江蘇省の工場で生産したエンジン部品、トヨタ紡織はシートカバーやドアトリム、豊田合成はハンドルの革製品やエアバッグの袋製品などを、日本や海外に輸出している。各社とも1週間程度の生産延期なら在庫で対応できるが、「1カ月を超えると状況は変わる」(豊田自動織機の河井康司執行職)。そこで代替生産も視野に、サプライチェーンの精査に乗り出した。
デンソーは災害時などに備えて、複数拠点で製品を供給できる体制をすでに整えている。松井靖経営役員は「生産のウエートを変えることは考えている。状況を見て対応する」と説明する。愛知製鋼は上海市で東南アジア向けの鍛造品を手がけるが、日本での代替生産が可能だという。
アイシン精機の塚本和哉グループ経営管理本部副本部長も「どんな製品にリスクがあるかを洗い出している」とし、日本を中心に代替生産の検討を始めた。ジェイテクトは軸受製品で中国から海外への供給が一部あるが、影響は限定的。状況を注視する構えだ。
新型肺炎の感染拡大は止まる兆しがない。世界保健機構(WHO)は「人から人への感染」が中国以外でも相次いでいることから「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。中国内の感染も増え続けている。現在、中国武漢市内は事実上“封鎖”され、上海市も企業に9日まで休業させる措置を決めたが、期間が延長され、企業に新たな判断を迫る可能性がある。
日刊工業新聞 2020年2月3日
https://newswitch.jp/p/20980
