地球上で最古の物質が発見された。
それは太陽系よりも数十億年は古いという。
国際的研究グループが発表した最新の研究によると、その微細な粒子は、50〜70億年前に遠方のどこかの星で形成され、それが隕石に閉じ込められて地球に運び込まれたのだそうだ。
■ 太陽誕生より前に形成された太陽系外起源の粒子
太陽の年齢は46億歳だが、隕石からこれ以前の粒子が発見されたことが、これまでにまったくなかったわけではない。
ただしきわめて珍しい。
太陽系の同位体組成とはまったく異なる同位体組成をもつ太陽系外起源の粒子は「プレソーラー粒子」と呼ばれており、小さく、しかも岩石の奥深くに埋れている。
当然、そう簡単には見つからない。
プレソーラー粒子が発見された事例としては、1969年9月にオーストラリア上空で爆発し、破片を飛散させた「マーチソン隕石」が挙げられる。
米フィールド自然史博物館は52キロのマーチソン隕石を入手し、入念に調査。
内部からは炭化ケイ素の微細な粒子が数多く発見され、隕石の起源が太陽系の外にあり、それよりも古いであろうことが判明した。
ただし、1990年代のその時点では、分析機器の性能の限界ゆえに、正確に年代を特定することができなかった。
■ 75億年前に形成された粒子
宇宙を飛び交う宇宙線は、隕石のような物体を透過して新しい元素を形成するなど、内部にその痕跡を残す。
新しい元素は宇宙線に暴露した期間が長ければ長いほどたくさんできるので、ここから暴露していた長さを推定することができる。
そこで今回の研究グループは、最新の走査電子顕微鏡、二次イオン質量分析、希ガス質量分析によって、こうした宇宙線の暴露による影響を調査した。
炭化ケイ素のプレソーラー粒子40個を解析したところ、ヘリウムの同位体3Heとネオンの同位体21Neが発見。
研究著者のフィリップ・ヘック氏(フィールド自然史博物館、シカゴ大学)によると、粒子の6割が46〜49億年前のものだったという。
だが1割は55億年よりも古く、最古のものではじつに75億年の時間が経過していた。
■ 星の形成が活発だった時期に誕生した物質
特に若い方の粒子の年齢は予想外で、天の川について驚きの歴史を明かしているという。
「私たちの仮説は、49〜46億年前の粒子の大半が、星の誕生が活発だった時期に形成されたというものです。
太陽系が誕生する以前、普通よりも星の形成が頻繁に起きていた時期がありました」とヘック氏は説明する。
その時期は今から70億年ほど前のことだと考えられている。
やがて、そのときに誕生した星々が死ぬと、中に形成されていたプレソーラー粒子は流出し、外宇宙へと吹き流れ、ついにはマーチソン隕石のような天体に取り込まれた。
しかし、まさかプレソーラー粒子が、たとえば超新星の衝撃波に耐えられるとは考えられないので、ヘック氏らは、塊としてまとまり、周囲の粒子を盾にしたに違いないと推測している。
■ 星が誕生するペースは一定ではないという科学的知見
またヘック氏によると、隕石の中に閉じ込められていた粒子から見つかった激しいスターバースト(銀河の衝突などで生じた大量の星間ガスによって、数多くの恒星が形成される現象)の痕跡は、星の形成ペースが衰えたことの証左だという。
「銀河で星が形成されるペースは常に一定という意見もありますが、粒子のおかげで、70億年前のこの銀河では星が活発に形成されていたという直接的な証拠を得ることができました。これこそが、今回の研究の主要な発見です」とヘック氏は述べる。
小さな粒子が地球に到達するまでの旅路を想像すれば、そこに秘められた壮大なロマンを感じられるかもしれない。
この研究は『PNAS』に掲載された。
http://karapaia.com/archives/52286954.html
それは太陽系よりも数十億年は古いという。
国際的研究グループが発表した最新の研究によると、その微細な粒子は、50〜70億年前に遠方のどこかの星で形成され、それが隕石に閉じ込められて地球に運び込まれたのだそうだ。
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■ 太陽誕生より前に形成された太陽系外起源の粒子
太陽の年齢は46億歳だが、隕石からこれ以前の粒子が発見されたことが、これまでにまったくなかったわけではない。
ただしきわめて珍しい。
太陽系の同位体組成とはまったく異なる同位体組成をもつ太陽系外起源の粒子は「プレソーラー粒子」と呼ばれており、小さく、しかも岩石の奥深くに埋れている。
当然、そう簡単には見つからない。
プレソーラー粒子が発見された事例としては、1969年9月にオーストラリア上空で爆発し、破片を飛散させた「マーチソン隕石」が挙げられる。
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米フィールド自然史博物館は52キロのマーチソン隕石を入手し、入念に調査。
内部からは炭化ケイ素の微細な粒子が数多く発見され、隕石の起源が太陽系の外にあり、それよりも古いであろうことが判明した。
ただし、1990年代のその時点では、分析機器の性能の限界ゆえに、正確に年代を特定することができなかった。
■ 75億年前に形成された粒子
宇宙を飛び交う宇宙線は、隕石のような物体を透過して新しい元素を形成するなど、内部にその痕跡を残す。
新しい元素は宇宙線に暴露した期間が長ければ長いほどたくさんできるので、ここから暴露していた長さを推定することができる。
そこで今回の研究グループは、最新の走査電子顕微鏡、二次イオン質量分析、希ガス質量分析によって、こうした宇宙線の暴露による影響を調査した。
炭化ケイ素のプレソーラー粒子40個を解析したところ、ヘリウムの同位体3Heとネオンの同位体21Neが発見。
研究著者のフィリップ・ヘック氏(フィールド自然史博物館、シカゴ大学)によると、粒子の6割が46〜49億年前のものだったという。
だが1割は55億年よりも古く、最古のものではじつに75億年の時間が経過していた。
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■ 星の形成が活発だった時期に誕生した物質
特に若い方の粒子の年齢は予想外で、天の川について驚きの歴史を明かしているという。
「私たちの仮説は、49〜46億年前の粒子の大半が、星の誕生が活発だった時期に形成されたというものです。
太陽系が誕生する以前、普通よりも星の形成が頻繁に起きていた時期がありました」とヘック氏は説明する。
その時期は今から70億年ほど前のことだと考えられている。
やがて、そのときに誕生した星々が死ぬと、中に形成されていたプレソーラー粒子は流出し、外宇宙へと吹き流れ、ついにはマーチソン隕石のような天体に取り込まれた。
しかし、まさかプレソーラー粒子が、たとえば超新星の衝撃波に耐えられるとは考えられないので、ヘック氏らは、塊としてまとまり、周囲の粒子を盾にしたに違いないと推測している。
■ 星が誕生するペースは一定ではないという科学的知見
またヘック氏によると、隕石の中に閉じ込められていた粒子から見つかった激しいスターバースト(銀河の衝突などで生じた大量の星間ガスによって、数多くの恒星が形成される現象)の痕跡は、星の形成ペースが衰えたことの証左だという。
「銀河で星が形成されるペースは常に一定という意見もありますが、粒子のおかげで、70億年前のこの銀河では星が活発に形成されていたという直接的な証拠を得ることができました。これこそが、今回の研究の主要な発見です」とヘック氏は述べる。
小さな粒子が地球に到達するまでの旅路を想像すれば、そこに秘められた壮大なロマンを感じられるかもしれない。
この研究は『PNAS』に掲載された。
http://karapaia.com/archives/52286954.html