(世界25カ国でそれぞれ500人、計12500人に実施した世論調査によるデータを35%組み合わせて集計したもの。2015年に調査が始まり、今年で5回目の報告書)
英国のコンサルティング会社ポートランド・コミュニケーションズと南カリフォルニア大学がまとめた「世界ソフトパワーランキング」が発表された。
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ソフトパワーランキングの持つ意味
国際的な国の影響力をはかるとき、経済や軍事力などといったハードパワーの比較がなされるのが一般的だ。しかしながら昨今では、インターネットやソーシャルメディアの普及によってグローバル化が進み、国家間の距離が縮まる中でソフトパワーの重要性が以前に比べて重要視されてきている。
ソフトパワーランキングは、各国の企業、文化、デジタル、政府、外交と教育の6分野にわたる客観データを65%、世界25カ国でそれぞれ500人、計12500人に実施した世論調査によるデータを35%組み合わせて集計したもの。2015年に調査が始まり、今年で5回目の報告書だ。
ランキング結果、日本がアジアトップに
ソフトパワーランキングトップ30の過去4回のランキングを見ると、トップ10の顔ぶれに変化はなく、アジアで唯一のランクインは日本だ。10カ国はランクを上げ下げしながらも全部10位圏内にとどまっている。またトップ30カ国のうちアジア勢は日本のほかに韓国、中国それとシンガポールの4か国だ。
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国内と国外でプレゼンスを高めて1位になるフランス
今回1位となったのはフランスだが、国としては必ずしも最良の年ではなかった。2018年11月に生活コストの上昇に不満を持った市民が集結したデモ「イエローベスト運動」は、パリの経済にダメージを与え2019年のはじめごろまで長期に及んだ。
しかしながら国内各地での対話を繰り返し、市民の怒りへ理解を示したマクロン大統領の政治努力が世論調査で高評価となった。
2019年初頭までを国内の問題に費やし、その後で国際舞台へと軸を移動して外交手腕を発揮したマクロン大統領。
フランスでは極右政党がじわじわと支持を集める中、経済成長の後押しも人気を高める要因であった。国内問題を親身になって解決し、国際舞台G7サミットのホストの役割を堂々と果たした若き大統領のプレゼンスは他に類を見ない。
フランスが今回1位となった要因はマクロン大統領個人の貢献だけではない。ソフトパワーにおけるフランスの強みは圧倒的な外交力、国際貢献にある。国際組織や多国間での取り組みに際してのプレゼンスは他国を寄せ付けない。
さらに世界随一の広域外交ルートを所有しているフランスは、非営利団体アリアンスフランセーズによる世界各地での文化交流ネットワークと文化的外交活動が活発なことでも知られている。
このように国際同盟への積極的な加入と多国間主義のフランスは国際舞台でのプレゼンスが強力だ。時はドイツのメルケル首相が2021年に任期満了を迎え、イギリスはEU離脱問題で国内情勢に集中せざるを得ない欧州。
前述のG7サミットでその立場を改めて確立したマクロン大統領が今後ますます、地域のリーダーシップを握っていくのは確実だと言われている。
政治力だけでないフランスのソフトパワー
さらにフランスは文化的魅力にあふれる国だ。同国の芸術、映画、スポーツ、グルメは世界中の観光客を魅了してやまない。世界最多の星付きレストラン数、ユネスコの無形文化遺産でもあるフランス料理、象徴的なエッフェル塔、ルーヴルをはじめとした数多くの美術館はフランス文化そのものだ。
ルーヴル美術館は世界最大の訪問者数を記録し、世界遺産も多いフランスは観光客数が世界一なのも納得がいく。2019年4月に発生したノートルダム大聖堂の火事では、国の内外から支援が多く集まった。
この世界中からの反響は、まさにフランス文化が世界中の人たちから愛されていることを象徴している。世界規模で見たフランス文化の独特なプレゼンスは、カンヌ映画祭やツールドフランス、建国記念日に世界中の人が集まることからも見て取れるだろう。
1/24(金) 16:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200124-00010001-ampreview-bus_all
英国のコンサルティング会社ポートランド・コミュニケーションズと南カリフォルニア大学がまとめた「世界ソフトパワーランキング」が発表された。
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ソフトパワーランキングの持つ意味
国際的な国の影響力をはかるとき、経済や軍事力などといったハードパワーの比較がなされるのが一般的だ。しかしながら昨今では、インターネットやソーシャルメディアの普及によってグローバル化が進み、国家間の距離が縮まる中でソフトパワーの重要性が以前に比べて重要視されてきている。
ソフトパワーランキングは、各国の企業、文化、デジタル、政府、外交と教育の6分野にわたる客観データを65%、世界25カ国でそれぞれ500人、計12500人に実施した世論調査によるデータを35%組み合わせて集計したもの。2015年に調査が始まり、今年で5回目の報告書だ。
ランキング結果、日本がアジアトップに
ソフトパワーランキングトップ30の過去4回のランキングを見ると、トップ10の顔ぶれに変化はなく、アジアで唯一のランクインは日本だ。10カ国はランクを上げ下げしながらも全部10位圏内にとどまっている。またトップ30カ国のうちアジア勢は日本のほかに韓国、中国それとシンガポールの4か国だ。
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国内と国外でプレゼンスを高めて1位になるフランス
今回1位となったのはフランスだが、国としては必ずしも最良の年ではなかった。2018年11月に生活コストの上昇に不満を持った市民が集結したデモ「イエローベスト運動」は、パリの経済にダメージを与え2019年のはじめごろまで長期に及んだ。
しかしながら国内各地での対話を繰り返し、市民の怒りへ理解を示したマクロン大統領の政治努力が世論調査で高評価となった。
2019年初頭までを国内の問題に費やし、その後で国際舞台へと軸を移動して外交手腕を発揮したマクロン大統領。
フランスでは極右政党がじわじわと支持を集める中、経済成長の後押しも人気を高める要因であった。国内問題を親身になって解決し、国際舞台G7サミットのホストの役割を堂々と果たした若き大統領のプレゼンスは他に類を見ない。
フランスが今回1位となった要因はマクロン大統領個人の貢献だけではない。ソフトパワーにおけるフランスの強みは圧倒的な外交力、国際貢献にある。国際組織や多国間での取り組みに際してのプレゼンスは他国を寄せ付けない。
さらに世界随一の広域外交ルートを所有しているフランスは、非営利団体アリアンスフランセーズによる世界各地での文化交流ネットワークと文化的外交活動が活発なことでも知られている。
このように国際同盟への積極的な加入と多国間主義のフランスは国際舞台でのプレゼンスが強力だ。時はドイツのメルケル首相が2021年に任期満了を迎え、イギリスはEU離脱問題で国内情勢に集中せざるを得ない欧州。
前述のG7サミットでその立場を改めて確立したマクロン大統領が今後ますます、地域のリーダーシップを握っていくのは確実だと言われている。
政治力だけでないフランスのソフトパワー
さらにフランスは文化的魅力にあふれる国だ。同国の芸術、映画、スポーツ、グルメは世界中の観光客を魅了してやまない。世界最多の星付きレストラン数、ユネスコの無形文化遺産でもあるフランス料理、象徴的なエッフェル塔、ルーヴルをはじめとした数多くの美術館はフランス文化そのものだ。
ルーヴル美術館は世界最大の訪問者数を記録し、世界遺産も多いフランスは観光客数が世界一なのも納得がいく。2019年4月に発生したノートルダム大聖堂の火事では、国の内外から支援が多く集まった。
この世界中からの反響は、まさにフランス文化が世界中の人たちから愛されていることを象徴している。世界規模で見たフランス文化の独特なプレゼンスは、カンヌ映画祭やツールドフランス、建国記念日に世界中の人が集まることからも見て取れるだろう。
1/24(金) 16:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200124-00010001-ampreview-bus_all