【シリコンバレー=白石武志】米電気自動車(EV)メーカー、テスラの時価総額が22日、独フォルクスワーゲン(VW)を超え自動車メーカーでトヨタ自動車に次ぐ世界2位になった。
2019年末に世界最大のEV市場である中国で主力小型車「モデル3」の生産が始まり、成長が加速するとの期待が高まっている。
欧州でも21年に新工場の稼働を計画しており、株価は2019年10月以降、2倍に上昇している。
アナリストらによる事前の赤字予想を覆して3四半期ぶりの黒字転換を果たした19年7〜9月期決算の発表をきっかけに、テスラ株は上昇基調に入った。
22日の米株式市場でテスラ株は一時前日比8.6%高の594.50ドルとなり、上場来高値を更新した。
時価総額は1050億ドル(約11兆5500億円)を超え、22日終値で約900億ユーロ(約997億ドル)だったVWを抜いた。
過去には生産計画の公約未達を繰り返したことで株価下落を見越した空売り筋の標的となったテスラだが、19年末には公約通り、着工から1年未満で上海新工場の量産を始めて株式市場の評価を高めた。
量産メーカーとしての経営が安定してきたことから、アナリストからは投資判断や目標株価の引き上げが相次いでいる。
ウェドブッシュ証券は22日、目標株価を370ドルから550ドルに引き上げ、強気シナリオでは900ドルとした。
テスラが29日に予定する決算発表で中国の好調な需要を背景に「強気の20年の販売計画を発表する」とみる。
21日には米調査会社のニュー・ストリート・リサーチが目標株価を530ドルから800ドルに引き上げていた。
ただ、19年末に量産が始まった上海新工場の当初の年産能力は15万台。既存の米カリフォルニア州フリーモントの工場と合わせても年産能力は59万台にとどまる。
世界で年間1000万台超を販売するVWやトヨタに比べ規模ではなお大きく見劣りしており、
株式市場の間ではテスラの中国事業の収益拡大への期待が株価に過剰に織り込まれているとの指摘もある。
2020/1/23 4:41
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54729830T20C20A1000000/