小学校在学中にいじめを受けていたのに校長や教諭に放置され、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして、20代の女性が学校の設置者である東京都府中市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は22日、市に756万円の支払いを命じた。野山宏裁判長は「いじめ問題を封印して闇に葬った」と述べ、学校の違法な対応を認めた。
判決によると、女性は小学校高学年になってから同級生の男子3人に暴力を継続的に受け、バケツに入った水を頭からかけられたり、頭を腕で抱え込む「ヘッドロック」をされたりした。靴を隠され、靴を履かずに帰宅することもあった。睡眠障害を訴えて不登校になり、PTSDの疑いがあると診断された。
1審・東京地裁立川支部判決(2018年3月)は女性の請求を棄却したが、高裁の野山裁判長は、校長と教諭2人が医師と面談した際のやりとりに着目した。
医師が「いじめによるPTSD」と説明しても、校長らは「調査によれば、いじめは存在しない」「児童のふざけ合い」と反論し、責任回避の態度を取り続けたと指摘。「いじめがあったことを前提とする対策を全く検討せず、校長が先頭に立っていじめの存在を否定し続けた。こうした対応が、PTSDの症状を長期化させた」と断じた。
女性は今もPTSDの治療を続けていて、判決後、代理人を通じて「傷が癒えることはないと思うが、これからは前を向いて歩いていけると思う」とコメントした。市教育委員会は「判決文を精査して対応する」とした。【巽賢司】
1/22(水) 20:25配信
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