1960年代にオーストラリアに落下した隕石(いんせき)の中から、約75億年前の微粒子が発見された。地球上に存在する最古の物質とみられる。
微粒子を発見したのは、アメリカとスイスの研究チーム。米国科学アカデミー紀要(PNAS)に13日に掲載された研究論文によると、この微粒子は太陽系の誕生よりも前から存在していたとされる。
星は爆発によって消滅する。この時、含まれていた粒子は宇宙空間へと放出される。こうした「プレソーラー粒子」は、新たな星や惑星、月や隕石に組み込まれていく。
研究論文の筆頭著者を務めた、イリノイ州シカゴのフィールド自然史博物館の学芸員で、シカゴ大学准教授のフィリップ・ヘック氏は、発見した微粒子は「星の固体サンプルで、本物の星くずだ」と述べた。
■豪に落ちた隕石を調査
アメリカとスイスの研究チームは、1969年9月28日にオーストラリア・ヴィクトリア州マーチソン付近に落下した、マーチソン隕石に含まれていた40もの「プレソーラー粒子」を分析した。
論文の共同著者で、フィールド自然史博物館とシカゴ大学で研究をしているジェニカ・グリア氏は、「まず、隕石の破片を粉々に砕くところから始まる」と手順を説明した。
「全ての破片を分離させると、ペースト状のようになる。刺激性があるのが特徴で、腐ったピーナツバターのような臭いがする」
このいやな臭いがするペーストは、酸で溶解され、星くずのみが残るという。
「針を見つけるために、干草の山を燃やすようなもの」だと、ヘック氏は述べた。
■宇宙線にさらされた期間をもとに
こうした粒子がどれくらい古いか調べるため、研究者は宇宙空間でどれくらいの期間、宇宙線にさらされていたのかを測るという。宇宙線とは、宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線のことで、固体を貫通する。
宇宙線の一部は物質と相互作用し、新たな要素を生み出す。物質が宇宙線にさらされるほど、より多くの要素がつくられる。研究者は、この元素ネオン「Ne-21」の特定の同位体を用いて調査した。
「この条件は、暴風雨の中、バケツを外に置いておくことと似ている。雨が降り続くと仮定すると、バケツの中にたまった水の量で、どれくらいの間バケツが雨にさらされていたのかが分かる」とヘック氏は例を挙げた。
新しい要素がいくつあるかを調べることで、粒子がどれくらいの間宇宙線にさらされていたかが分かる。
こうした「プレソーラー粒子」の一部が、これまでに地球上で発見された最古の物質だと判明した。
■約75億年前の粒子を発見
宇宙線との相互作用が最も多かった粒子は、46億〜49億年前のものだった。太陽が誕生したのは46億年前で、地球はそれより後の45億年前に誕生した。
研究の結果、最も古かった粒子は、約75億年前に誕生したものだった。
続きはソースで
http://www.bbc.com/japanese/51101736