「ディズニー」や「釣りビジョン」が参入して以来、8年ぶりにBS放送へ新規参入する事業者が決まった。
新しくBS放送に参入するのは、吉本興業とジャパネットホールディングス(HD)、松竹と東京急行電鉄の合弁会社の3社だ。2021年度にもBS放送に新しいチャンネルができる。
BS放送の広告費は年々増加傾向にあったが、伸び悩んでいる。今年にはBS放送よりも規模が大きい地上波の広告費も落ち込んでおり、放送の広告市場が回復する見込みはたっていない。
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■収益源を求めて動画配信に各社が参入
そんな中、新たな収益源を求めて各社は動画配信に乗り出そうとしている。BSの有料放送チャンネル「釣りビジョン」は2020年度中に動画配信事業の開始を目指す。CS放送でも、ディスカバリーチャンネルなどを運営するアメリカのディスカバリー社が2019年から日本で動画配信サービス「Dplay」を開始。若年層の取り込みに成功しており、2020年前半には有料化する方針だ。
Netflixなどの動画配信事業者が勢いを増し、既存の放送事業者にも「放送一極集中から脱却」の兆しがある中、ここにきてなぜ、放送に新規参入する動きが出てきたのだろうか。
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「いまの放送業界を見ると、衰退の状況にある。活性化するためには、競争とスター選手の登場が必要だった」
こう話すのは、2017年8月から2018年10月まで総務省政務官を務め、電波・放送・通信分野の規制改革に詳しい小林史明衆院議員(自民党)だ。小林議員によると、今回BS放送の新規参入を認めたのは、新規参入者を募ることで停滞している放送業界を活性化させる狙いがあったという。
こうした新規参入論を後押ししたのが技術の進展だ。そもそも放送に使われる帯域には限りがある。以前までは、一般の地上波と同じHD画質を衛星で放送するには帯域の枠が16スロット必要だとされていた。しかし、技術の進展によって放送に必要な周波数が減少し、以前より4スロット少ない12スロットでも放送できるようになった。
この4スロット分をいくつかの事業者から集めることによって、新たに3事業者が参入することができる放送枠が生まれたのだ。
新規参入は「なぜ4Kを推進している中、4Kではない事業者を増やすのか」という一部事業者の反発や帯域削減の調整などもあり、進んでこなかった。しかし、総務省側の強い意向や放送事業者の厳しい事業環境などを背景に、スロット削減の議論が本格化。8事業者13チャンネルから合計42スロットの返還が申し入れされた。
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■通販が主力のジャパネットもBSに参入
スロット削減には事業者側にもメリットがある。今回、スロットを削減することが決まったあるBS放送の事業者は「衛星使用料が減少し、だいたい年間1億円のコスト削減につながる」と明かす。スロットを削減する側にもメリットを提示できたことが、今回のスロット一部返上につながったようだ。
今回、新規参入する3社の中でも異色なのが、ジャパネットHDだ。吉本興業や松竹は従来からそれぞれ映画や放送を手がけていた。しかし、テレビ通販が事業の柱であるジャパネットHDに、純粋な番組制作の経験はなかった。
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BS放送へ参入した動機について、ジャパネットの創業者、高田明氏の長女である高田春奈ジャパネットHD取締役は「テレビの視聴率は下がっているが、いまだに大きな反響がある。その影響力が魅力的だった。ジャパネットの作る放送局はドラマの出演者が着る服など番組内に出てきたものをアプリ上で購入できるようにしたい」と話し、通販事業との連携を見据える。
通常の放送局はCM枠を販売して収入を得ているが、ジャパネットは自社の通販番組などをCMとして放送するため、他社のCMを放送しない可能性がある。CM収入へ期待することはできず、そのため番組と連動した商品販売や通販が主要な収入源となる。
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いわば、「CMを売らない放送局」を目指す方向性だ。広告の心配がない放送局は今まででは考えられないビジネスモデルとなっており、従来のテレビ局とは一線を画す存在となりそうだ。
■アプリの集客力や採算性に疑問の声
しかし、本当にうまくいくのか不安な点もある。ジャパネットが掲げるテレビとアプリの融合は既存放送局でも議論され、一部では行われているが成功事例はいまだ少ない。アプリの集客力や採算性を疑問視する声も根強く、購入者がどれくらいいるかは未知数だ。通販で培った力をアプリで生かせるかがポイントだ
全文はソース元で
1/14(火) 5:10配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200114-00323949-toyo-bus_all&p=2
新しくBS放送に参入するのは、吉本興業とジャパネットホールディングス(HD)、松竹と東京急行電鉄の合弁会社の3社だ。2021年度にもBS放送に新しいチャンネルができる。
BS放送の広告費は年々増加傾向にあったが、伸び悩んでいる。今年にはBS放送よりも規模が大きい地上波の広告費も落ち込んでおり、放送の広告市場が回復する見込みはたっていない。
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■収益源を求めて動画配信に各社が参入
そんな中、新たな収益源を求めて各社は動画配信に乗り出そうとしている。BSの有料放送チャンネル「釣りビジョン」は2020年度中に動画配信事業の開始を目指す。CS放送でも、ディスカバリーチャンネルなどを運営するアメリカのディスカバリー社が2019年から日本で動画配信サービス「Dplay」を開始。若年層の取り込みに成功しており、2020年前半には有料化する方針だ。
Netflixなどの動画配信事業者が勢いを増し、既存の放送事業者にも「放送一極集中から脱却」の兆しがある中、ここにきてなぜ、放送に新規参入する動きが出てきたのだろうか。
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「いまの放送業界を見ると、衰退の状況にある。活性化するためには、競争とスター選手の登場が必要だった」
こう話すのは、2017年8月から2018年10月まで総務省政務官を務め、電波・放送・通信分野の規制改革に詳しい小林史明衆院議員(自民党)だ。小林議員によると、今回BS放送の新規参入を認めたのは、新規参入者を募ることで停滞している放送業界を活性化させる狙いがあったという。
こうした新規参入論を後押ししたのが技術の進展だ。そもそも放送に使われる帯域には限りがある。以前までは、一般の地上波と同じHD画質を衛星で放送するには帯域の枠が16スロット必要だとされていた。しかし、技術の進展によって放送に必要な周波数が減少し、以前より4スロット少ない12スロットでも放送できるようになった。
この4スロット分をいくつかの事業者から集めることによって、新たに3事業者が参入することができる放送枠が生まれたのだ。
新規参入は「なぜ4Kを推進している中、4Kではない事業者を増やすのか」という一部事業者の反発や帯域削減の調整などもあり、進んでこなかった。しかし、総務省側の強い意向や放送事業者の厳しい事業環境などを背景に、スロット削減の議論が本格化。8事業者13チャンネルから合計42スロットの返還が申し入れされた。
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■通販が主力のジャパネットもBSに参入
スロット削減には事業者側にもメリットがある。今回、スロットを削減することが決まったあるBS放送の事業者は「衛星使用料が減少し、だいたい年間1億円のコスト削減につながる」と明かす。スロットを削減する側にもメリットを提示できたことが、今回のスロット一部返上につながったようだ。
今回、新規参入する3社の中でも異色なのが、ジャパネットHDだ。吉本興業や松竹は従来からそれぞれ映画や放送を手がけていた。しかし、テレビ通販が事業の柱であるジャパネットHDに、純粋な番組制作の経験はなかった。
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BS放送へ参入した動機について、ジャパネットの創業者、高田明氏の長女である高田春奈ジャパネットHD取締役は「テレビの視聴率は下がっているが、いまだに大きな反響がある。その影響力が魅力的だった。ジャパネットの作る放送局はドラマの出演者が着る服など番組内に出てきたものをアプリ上で購入できるようにしたい」と話し、通販事業との連携を見据える。
通常の放送局はCM枠を販売して収入を得ているが、ジャパネットは自社の通販番組などをCMとして放送するため、他社のCMを放送しない可能性がある。CM収入へ期待することはできず、そのため番組と連動した商品販売や通販が主要な収入源となる。
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いわば、「CMを売らない放送局」を目指す方向性だ。広告の心配がない放送局は今まででは考えられないビジネスモデルとなっており、従来のテレビ局とは一線を画す存在となりそうだ。
■アプリの集客力や採算性に疑問の声
しかし、本当にうまくいくのか不安な点もある。ジャパネットが掲げるテレビとアプリの融合は既存放送局でも議論され、一部では行われているが成功事例はいまだ少ない。アプリの集客力や採算性を疑問視する声も根強く、購入者がどれくらいいるかは未知数だ。通販で培った力をアプリで生かせるかがポイントだ
全文はソース元で
1/14(火) 5:10配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200114-00323949-toyo-bus_all&p=2