中国との距離の取り方が最大の争点となる中、再選を目指す与党・民進党の蔡英文総統と、最大野党・国民党の韓国瑜氏は最後の訴えを行い、支持を呼びかけています。
任期満了に伴う台湾の総統選挙はあす投票が行われ、再選を目指す与党・民進党の蔡英文総統と、南部の高雄市の市長で最大野党・国民党の韓国瑜氏の事実上、2人の争いとなっています。
選挙戦最終日の10日、蔡総統は、北部の新北市内を選挙カーで回り、沿道に手を振って支持を訴えていました。
一方、韓氏も、国民党の支持者が多い中部の南投県を選挙カーで回り、みずからへの投票を呼びかけていました。
今回の選挙の最大の争点は、将来の台湾統一を目指している中国との距離の取り方です。
中国と距離をとる立場の蔡総統が中国への接近は台湾の民主主義を損なうことにつながると主張する一方、韓氏は、中国と関係を改善することで安全が保障され、経済の振興にもつながると訴えています。
蔡総統と韓氏は10日夜、それぞれ大規模な集会を開いて最後の訴えを行い、選挙活動が認められている日本時間の午後11時まで支持を呼びかけることにしています。
■ 専門家「中国の影響力強まることに警戒心」
中国や台湾の政治に詳しい東京大学の松田康博教授は台湾の総統選挙の情勢について、「抗議活動が続く香港の混乱を見て台湾の人たちは中国の影響力が強まることに警戒心を持ち、中国に強いスタンスで臨む蔡英文総統の人気が回復している」と分析しています。
さらに米中の対立も台湾の人々に影響を与えていると指摘し「安全保障をアメリカに依存する台湾としては中国側に接近する選択肢はなかなか取りにくく、国民党の路線が疑問を持たれているのではないか」と述べました。
一方松田教授は「台湾の選挙は最後にいろいろな要因が出てきて票が動くことがあるので、最終的にどうなるかはふたを開けてみるまでわからない」として、最終的な結果を注視する考えを示しています。
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