アメリカ軍がイランの精鋭部隊の司令官をイラクで殺害し緊張が高まる中、イラクの首都バグダッドでは数万人が司令官らの葬列に加わり、イランの影響下にあるシーア派の民兵らがアメリカに対して非難の声をあげました。
アメリカ軍は3日までに、トランプ大統領の指示にもとづきイラクの首都バグダッドでイランの精鋭部隊、革命防衛隊のソレイマニ司令官や同行していたイラクのイスラム教シーア派の民兵組織の幹部らを殺害しました。
この民兵組織の呼びかけで4日、バグダッドでソレイマニ司令官ら亡くなった人たちの葬儀が行われ、民兵組織のトップが「アメリカがイラクの主権を侵害したことに対し、対抗措置をとるのはイラクの政府と議会の義務だ」と訴えました。
そのあと、司令官らの棺は数万人の葬列とともにシーア派の聖地、イラク中部のカルバラへ向かい、アブドルマハディ暫定首相も合流しました。
イラクでは、シーア派が人口の半数以上を占めていて、シーア派の大国イランが民兵組織を通じて影響力を拡大しています。
葬列に加わった民兵らは「アメリカはいらない」などと非難の声をあげていました。
ソレイマニ司令官の殺害を受けイランは報復する構えを見せていて、アメリカとイランの衝突が起きることが懸念されています。
イラン最高指導者ら 司令官の遺族を訪問
イラン最高指導者のハメネイ師とロウハニ大統領が、相次いでアメリカ軍に殺害されたソレイマニ司令官の遺族のもとを訪ねました。
ハメネイ師は3日夜、首都テヘランに住む遺族のもとを訪ね、ソレイマニ氏の妻たちを前に「彼は誰も何も恐れていなかった。彼の闘争は偉大な闘争であり、彼の殉教は偉大な殉教だった」と述べ、その死を悼みました。
また、4日遺族のもとを訪ねたロウハニ大統領も「アメリカによるこの犯罪が、忘れられることはないだろう。この偉大な男は、普通の人やテロリストに殺されるのではなく、歴史上最大のテロリストによって殉教するのがふさわしい」と述べて追悼しました。
そのうえで、ロウハニ大統領は「アメリカは、大きな過ちを犯したことをわかっていない。彼らは今後、この過ちがもたらす影響に直面することになるだろう」と述べ、アメリカに対して何らかの報復措置をとる可能性を改めて示唆しました。
NHKニュース 2020年1月4日 22時58分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200104/k10012235521000.html