【ニューヨーク=中山修志】米航空宇宙局(NASA)は20日、米ボーイングが開発中の有人宇宙船「スターライナー」の打ち上げ実験を行った。今回は人は乗っていない。米国は2011年のスペースシャトルの退役後、国際宇宙ステーション(ISS)への飛行士の輸送をロシアの宇宙船に頼ってきた。自国の有人宇宙船の復活をめざすNASAにとって重要な一歩になる。
スターライナーは20日午前に南部フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられ、無事に軌道に乗った。21日にISSに接続し、28日に地球に帰還する。機体にマネキン人形を乗せて飛行士にかかる衝撃などを測定し、安全性を検証する。
無人飛行が成功すれば、20年に予定する有人飛行に向けて前進する。開発を手掛けたボーイングは旅客機「737MAX」の墜落事故による運航停止が長引いており、自社の技術力を示すためにも開発事業の成功は悲願となる。
NASAは米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が立ち上げた宇宙開発ベンチャー、スペースXにもスペースシャトル後継機の開発を委託している。同社の宇宙船「クルードラゴン」は今年3月に無人飛行に成功したが、4月に別の試験中に爆発事故が発生し開発スケジュールが遅れた。クルードラゴンも20年に有人飛行を計画している。
日本経済新聞 2019年12月20日 21:45
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53645300Q9A221C1EA5000/