福山大生命工学部生物工学科の佐藤淳准教授(進化生物学)の研究グループが、共通の祖先から分かれたと考えられてきたアザラシ、アシカ、セイウチの遺伝子の分析から、アザラシの祖先だけ別の過程で陸から海へ進出した可能性があるとする論文を発表した。同じ陸の生き物から進化したと考えられてきた水族館の人気者たちが、実はルーツを異にする動物だったことを示唆する研究結果に、水族館のベテラン飼育員も関心を示している。
アザラシ、アシカ、セイウチの仲間は「鰭脚(ききゃく)類」と総称される海生哺乳類。耳たぶがなく腹ばいで移動する「アザラシ科」▽小さな耳たぶがあり、前後の脚で体を起こして歩く「アシカ科」▽大きな牙を持つ「セイウチ科」――など、主に体の特徴で分類されている。
佐藤准教授によると、これまでは3000万〜4000万年前にイタチの仲間から分かれた後、陸上で暮らしていた祖先が海に進出し、時間をかけてそれぞれの形に分かれたと考えられてきた。
研究グループは、魚やイカ、エビ、貝などを丸のみで食べる海生哺乳類は甘みやうまみを感じる必要がなく、多くが進化の過程で味覚を失うことに注目。鰭脚類16種の味覚遺伝子を調べたところ、アザラシ科と、アシカ科やセイウチ科の動物では、味覚遺伝子に起きた突然変異のパターンが明らかに違うことが判明したという。
佐藤准教授は「陸上で進化を遂げた別の動物が、それぞれの事情で海に適応し、味覚機能の一部を別々の過程で失ったと考えられる」と説明する。
アザラシやアシカは愛らしい姿や芸達者で水族館や動物園の人気者。宮島水族館(広島県廿日市市)では、ゴマフアザラシやカリフォルニアアシカを同じプールで一緒に展示することも多いという。飼育経験20年以上のベテラン専門員、赤木太さん(50)は「言われてみれば泳ぎ方の特徴も違うし、同じ空間にいてもほとんど干渉し合わない。出自まで違うとすれば興味深い」と話す。
論文は11月21日に学術誌「Journal of Biogeography」オンライン版に掲載された。今回の研究成果は、地形や環境の変化が生物の進化や分布に及ぼす影響などを考える参考にもなるといい、佐藤准教授は「動物の進化と私たちが暮らす環境との関わりをより深く研究していきたい」と話している。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191210-00000062-mai-life
参考動画
アシカ
アザラシ
アザラシ、アシカ、セイウチの仲間は「鰭脚(ききゃく)類」と総称される海生哺乳類。耳たぶがなく腹ばいで移動する「アザラシ科」▽小さな耳たぶがあり、前後の脚で体を起こして歩く「アシカ科」▽大きな牙を持つ「セイウチ科」――など、主に体の特徴で分類されている。
佐藤准教授によると、これまでは3000万〜4000万年前にイタチの仲間から分かれた後、陸上で暮らしていた祖先が海に進出し、時間をかけてそれぞれの形に分かれたと考えられてきた。
研究グループは、魚やイカ、エビ、貝などを丸のみで食べる海生哺乳類は甘みやうまみを感じる必要がなく、多くが進化の過程で味覚を失うことに注目。鰭脚類16種の味覚遺伝子を調べたところ、アザラシ科と、アシカ科やセイウチ科の動物では、味覚遺伝子に起きた突然変異のパターンが明らかに違うことが判明したという。
佐藤准教授は「陸上で進化を遂げた別の動物が、それぞれの事情で海に適応し、味覚機能の一部を別々の過程で失ったと考えられる」と説明する。
アザラシやアシカは愛らしい姿や芸達者で水族館や動物園の人気者。宮島水族館(広島県廿日市市)では、ゴマフアザラシやカリフォルニアアシカを同じプールで一緒に展示することも多いという。飼育経験20年以上のベテラン専門員、赤木太さん(50)は「言われてみれば泳ぎ方の特徴も違うし、同じ空間にいてもほとんど干渉し合わない。出自まで違うとすれば興味深い」と話す。
論文は11月21日に学術誌「Journal of Biogeography」オンライン版に掲載された。今回の研究成果は、地形や環境の変化が生物の進化や分布に及ぼす影響などを考える参考にもなるといい、佐藤准教授は「動物の進化と私たちが暮らす環境との関わりをより深く研究していきたい」と話している。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191210-00000062-mai-life
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アザラシ