ギガビット級インターネット網構築のためにSpaceXが打ち上げた人工衛星について、「明るすぎて、夜空の眺めや科学研究に影響が出る」と天文学者から懸念が示されていた件で、SpaceXのグウィン・ショットウェル社長兼COOが、今後打ち上げる衛星はコーティングを施して影響を減らすようにすると言及しました。
SpaceX working on fix for Starlink satellites so they don’t disrupt astronomy - SpaceNews.com
https://spacenews.com/spacex-working-on-fix-for-starlink-satellites-so-they-dont-disrupt-astronomy/
この話は、現地時間2019年12月6日にSpaceXの本部で行われた記者会見で出たもの。
SpaceXでは人工衛星を用いたインターネット網構築計画「Starlinkプロジェクト」を2016年にスタートし、2019年2月に試験衛星打ち上げを実施。2019年5月には最初の衛星60基の打ち上げに成功しました。
SpaceXが人工衛星を用いてインターネット環境を構築するStarlinkプロジェクト用の最初の衛星60基を打ち上げ - GIGAZINE
この時点で、打ち上げた人工衛星が明るすぎて、もし予定通り4000基以上の衛星が打ち上げられた場合、科学研究や夜空の眺めに干渉する可能性があると天文学者から指摘を受けていました。
SpaceXはこのときは対応を行いませんでしたが、2019年11月に第2弾の衛星60基の打ち上げを実施したところ、打ち上げ時の軌道がチリにあるセロ・トロロ汎米天文台でのダークエネルギーカメラを用いた撮影にはっきりと映り込む事態となりました。
こうした結果を受けて、さらなる衛星の打ち上げを予定しているSpaceXでは、影響を軽減するために人工衛星の底面を暗い色にするほか、打ち上げの軌道も必要に応じて調整することを明らかにしました。ただし、ショットウェル氏は、今回のコーティングはあくまで最良の手段を見つけるための実験であり、効果を発揮するものとは限らないと断りを入れています。
SpaceXには「Starlinkプロジェクト」のために1万2000基以上の衛星を打ち上げる許可が与えられているほか、OneWebやAmazonも同じような衛星群の計画を進めており、これらが天文学分野と折り合いをつけられるかは気になるところです。
https://gigazine.net/news/20191209-spacex-starlink-satellite/