香港の「死の空間」 斜面に密集する墓を写真家が捉える
CNN 2019.10.26 Sat posted at 14:00 JST
https://www.cnn.co.jp/style/arts/35144261.html
途中で省略してあります。続きは記事リンク先へ。
Finbarr Fallon
香港の丘の斜面に延々と続く墓石の列。漢字の刻まれた灰色の石が一面に広がる中、目に入る緑はわずかだ。
これらの斜面には数千人の香港市民が、もしくはその遺骨が眠っている。
写真家のフィンバー・ファロン氏は新作「Dead Space(原題)」を撮るために市内のほぼ全ての墓地を訪れ、密集した墓や、それを取り囲む丘陵地の光景をとらえた。
中でも印象的な作品では、前景の墓地に小さな長方形の墓石が整然と並ぶ一方、背後には高層ビルがそびえている。
「生者と死者の関係をひとつの構図の中に描き出そうとした」。ファロン氏はそう説明する。撮影には望遠レンズを使い、前景と背景を圧縮して平面的な効果を生み出した。
ドローン(無人機)を駆使した空撮も行い、墓地の規模を示すのに役立てた。一部の写真では、急斜面を登る参拝者が墓石の海に漂う粒のように見える。
ファロン氏はシンガポール在住。香港での休暇中に湾仔(ワンチャイ)の墓地を目にしたことがきっかけでプロジェクトに着手した。物理空間の制約が人間の生死のあり方を規定する点に魅了され、続く5年間でたびたび香港を訪問し、「変容する死の文化」を写真に収めた。
不足する埋葬場所
ファロン氏の出身国の英国では、墓地は平坦(へいたん)で緑に囲まれ、広々としていることが多い。まるで手入れの行き届いた庭のようだという。一方、香港では死者の状況は生者の現実を反映し、過密状態の中で空間争いが繰り広げられている。
香港には750万人が暮らす。住宅事情は世界最悪水準で、家や土地の価格が高騰。場合によっては生きている間だけでなく、死後も家探しの苦労が続く。
Finbarr Fallon
写真特集:香港の「死の空間」を捉える
私有墓地の永代区画は現在、カタログ価格にして28万香港ドル(約384万円)。老いと死を研究する香港大のエイミー・チョウ准教授によると、売値はその4倍近くに達する場合もある。公営墓地の区画はもう少し安いが、既にほぼ全ての永代墓が埋まっており、残るのは6年後の掘り起こしが義務づけられる再利用区画だけだ。
香港市民の大多数は今では火葬を選んでいる。しかしその場合でさえ、納骨堂に場所を確保するのは至難の業で、1〜2口の骨壺を置くのがやっとの場所に数千家族が順番待ちをする状況だ。7年待ってやっと空きが出ることもあるという。
ファロン氏の写真の雰囲気や色調は、死を巡る香港の不安を映し出しているように見える。抑えた色合いに霞(かすみ)がかかり、ほとんどメランコリックと言ってもよい。撮影には意図的に曇りの日を選び、全体の美学が「目の前の主題に調和する」よう心がけた。
ファロン氏によると、空間が枯渇しつつあるのはシンガポールでも同様だ。シンガポール政府は古い墓地の上に高速道路や新築住宅の建設を進めており、多くの墓で掘り起こしが行われている。
●変容する伝統と信仰
墓地がどのようにして山の地形に成形されたのかに興味があるという/Finbarr Fallon
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CNN 2019.10.26 Sat posted at 14:00 JST
https://www.cnn.co.jp/style/arts/35144261.html
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Finbarr Fallon
香港の丘の斜面に延々と続く墓石の列。漢字の刻まれた灰色の石が一面に広がる中、目に入る緑はわずかだ。
これらの斜面には数千人の香港市民が、もしくはその遺骨が眠っている。
写真家のフィンバー・ファロン氏は新作「Dead Space(原題)」を撮るために市内のほぼ全ての墓地を訪れ、密集した墓や、それを取り囲む丘陵地の光景をとらえた。
中でも印象的な作品では、前景の墓地に小さな長方形の墓石が整然と並ぶ一方、背後には高層ビルがそびえている。
「生者と死者の関係をひとつの構図の中に描き出そうとした」。ファロン氏はそう説明する。撮影には望遠レンズを使い、前景と背景を圧縮して平面的な効果を生み出した。
ドローン(無人機)を駆使した空撮も行い、墓地の規模を示すのに役立てた。一部の写真では、急斜面を登る参拝者が墓石の海に漂う粒のように見える。
ファロン氏はシンガポール在住。香港での休暇中に湾仔(ワンチャイ)の墓地を目にしたことがきっかけでプロジェクトに着手した。物理空間の制約が人間の生死のあり方を規定する点に魅了され、続く5年間でたびたび香港を訪問し、「変容する死の文化」を写真に収めた。
不足する埋葬場所
ファロン氏の出身国の英国では、墓地は平坦(へいたん)で緑に囲まれ、広々としていることが多い。まるで手入れの行き届いた庭のようだという。一方、香港では死者の状況は生者の現実を反映し、過密状態の中で空間争いが繰り広げられている。
香港には750万人が暮らす。住宅事情は世界最悪水準で、家や土地の価格が高騰。場合によっては生きている間だけでなく、死後も家探しの苦労が続く。
Finbarr Fallon
写真特集:香港の「死の空間」を捉える
私有墓地の永代区画は現在、カタログ価格にして28万香港ドル(約384万円)。老いと死を研究する香港大のエイミー・チョウ准教授によると、売値はその4倍近くに達する場合もある。公営墓地の区画はもう少し安いが、既にほぼ全ての永代墓が埋まっており、残るのは6年後の掘り起こしが義務づけられる再利用区画だけだ。
香港市民の大多数は今では火葬を選んでいる。しかしその場合でさえ、納骨堂に場所を確保するのは至難の業で、1〜2口の骨壺を置くのがやっとの場所に数千家族が順番待ちをする状況だ。7年待ってやっと空きが出ることもあるという。
ファロン氏の写真の雰囲気や色調は、死を巡る香港の不安を映し出しているように見える。抑えた色合いに霞(かすみ)がかかり、ほとんどメランコリックと言ってもよい。撮影には意図的に曇りの日を選び、全体の美学が「目の前の主題に調和する」よう心がけた。
ファロン氏によると、空間が枯渇しつつあるのはシンガポールでも同様だ。シンガポール政府は古い墓地の上に高速道路や新築住宅の建設を進めており、多くの墓で掘り起こしが行われている。
●変容する伝統と信仰
墓地がどのようにして山の地形に成形されたのかに興味があるという/Finbarr Fallon
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