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米キャタピラー、中国販売不振 通期見通し下方修正
2019年10月24日 1:47 (2019年10月24日 1:55 更新)
【ニューヨーク=高橋そら】米建機大手キャタピラーは23日、2019年12月期通期の業績見通しを従来予想から下方修正した。中国を中心に建機や鉱山機械の販売が鈍化する。世界経済の先行きに不透明感が残る中、需要の頭打ちが続く。
「10〜12月期は機械の需要が横ばいになり、販売店はさらに在庫を削減するだろう」。同社のジム・アンプレビー最高経営責任者(CEO)は23日の記者会見でこう語った。同社の通期の1株あたり利益予想は10.90ドル〜11.40ドルと、従来の12.06ドル〜13.06ドルから引き下げた。
同日発表した19年7〜9月期の決算は、純利益が前年同期比13%減の14億9400万ドル(約1600億円)だった。中国の景気減速でアジア地域の建機需要が一段と低迷した。現地メーカーとの価格競争の激化も響いた。調整後1株利益は2.66ドルと市場予想(2.88ドル程度)を下回った。
売上高は6%減の127億ドルだった。前年同期比で減収となるのは2年9カ月ぶり。主力の建設部門はアジア・太平洋地域が29%減と大きく落ち込んだ。下落率は4〜6月期の22%から拡大した。アンプレビーCEOは「中国市場は流動的だが長期的には競争に勝つ自信を持っている」と述べた。
同CEOは「中国の景気刺激策が助けになる」と政策対応に期待する。アンドリュー・ボンフィールド最高財務責任者(CFO)も「需要期である中国の春節(旧正月)をめがけ、10〜12月期から中国の販売代理店が在庫を積み上げるだろう」との予想を示し、市場の懸念を和らげた。
バンクオブアメリカ・メリルリンチのロス・ジラルディ氏は「販売店の在庫削減が一巡すれば在庫水準は安定していくだろう」と予想する。同氏は、販売代理店の顧客向け売上高が9月に前年同月比6%増と6〜8月の4%増から上向いたことも回復の兆しとみる。
建設や鉱山開発に不可欠な機械を扱う米キャタピラーは「世界経済の先行指標」とされ、金融市場から注目されている。