https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190914-00010001-nknatiogeo-sctch
■大アドリア大陸と命名
ヨーロッパのアドリア海を取り巻く山岳地帯は、太古に失われた大陸の痕跡かもしれない。
9月3日付けで学術誌「Gondwana Research」に発表された論文によると、これらの山々は、太古に崩壊した、グリーンランドほどの大きさの
大陸の残骸だという。研究では、過去2億4000万年にわたる地中海のプレート変動の歴史を詳しく再現することに成功した。
研究チームはこの大陸を「大アドリア大陸」と名付けた。大アドリア大陸は、まず超大陸から分離して形成された。
しかし、複数のプレートが容赦なくぶつかり合うなか、この大陸は、数カ所の沈み込み帯に引きずり込まれた。
大アドリア大陸は、地球の奥深くに沈み込む際、上に重なったプレートによってその最上層を削り取られた。
まるで巨人が巨大なリンゴの皮を剥くような具合だ。
こうして削り取られた残骸が、イタリアの背骨と呼ばれるアペニン山脈のほか、トルコやギリシャ、アルプス、バルカン半島の山々を形成する礎となった。
一方で、大アドリア大陸の一部は沈み込むことも削り取られることもなく、残った。
その名残は現在、イタリアのブーツのかかと部に見られ、ベネチアからトリノにかけて散在し、クロアチアのイストリア地方でも確認できる。
つまり、失われた大陸の断片は絶好のリゾートとなっているわけだ。
断片になった地質学的な過去を再構築することが、現在を知る鍵になると、今回の論文の著者であるオランダ、ユトレヒト大学の
地質学者ダウエ・ファン・ヒンスベルゲン氏は言う。
■時計の針を巻き戻す
三畳紀(2億5000万年前〜2億130万年前)以降の地中海の大陸移動を再現するには、重大な課題がいくつかあった。
これまでもかなりの時間をかけて調べられてきたが、地質のジグソーパズルは非常に難解で、詳細な分析は困難だった。
「地中海は、めちゃくちゃなのです」と米テキサス大学ダラス校のプレートテクトニクスの専門家ロバート・スターン氏は話す。
なお、同氏は今回の研究には関わっていない。
乱雑な地中海エリアで、数人の地質学者が過去にも、失われた大陸の存在を示すヒントを発見してきた。
だが、その説を詳しく解き明かすのは困難だった。大陸の残骸は30カ国ほどに散らばり、それぞれに独自のモデルや調査が行われてきたからだ。
物事を整理するため、研究チームは10年を費やし、地中海地域全体から膨大な地質学的なデータを収集、GPlatesというソフトウエアを用いて
自分たちのモデルに当てはめた。このソフトウエアのおかげで、過去15年ほどでプレートテクトニクスのより詳細な視覚化と微調整が可能になった。
研究チームは忍耐強く作業を行い、失われた大陸の物語に欠けていた章を明らかにした。
およそ2億4000万年前、大アドリア大陸はパンゲア超大陸の一部だった。
だが2000万年後に現在のアフリカから離れ、それからさらに4000万年後に現在のフランスとスペインから分離し、孤立した大陸になった。
大アドリア大陸の地形についてはまだ謎に包まれているが、おそらく大部分が水面下に沈んでおり、複数の島が海から顔を出していたと考えられる。
海からニュージーランドとニューカレドニアが顔を出すジーランディア大陸のようなものだ。
あるいは、米フロリダキーズのように、群島が波間に浮かんでいたのかもしれない。
■不朽の業績
大アドリア大陸の崩壊が始まったのは1億年前、現在の南ヨーロッパにぶつかり、一部が地中海地域全体に広範に広がる
複数のプレートの下に潜り込んだ時のこと。
大陸が手当たり次第に沈み込んだということは、「小さな断片それぞれに独自の歴史があった」ということだとファン・ヒンスベルゲン氏は話す。
「その後、現在の雑然とした地中海に落ち着いたのです」
しかし重要なのは「大陸は消滅しても、その痕跡は残ることが多い」ことであり、山岳の形成もこうした痕跡の一つだと同氏は言う。
※続きはソースで
■大アドリア大陸と命名
ヨーロッパのアドリア海を取り巻く山岳地帯は、太古に失われた大陸の痕跡かもしれない。
9月3日付けで学術誌「Gondwana Research」に発表された論文によると、これらの山々は、太古に崩壊した、グリーンランドほどの大きさの
大陸の残骸だという。研究では、過去2億4000万年にわたる地中海のプレート変動の歴史を詳しく再現することに成功した。
研究チームはこの大陸を「大アドリア大陸」と名付けた。大アドリア大陸は、まず超大陸から分離して形成された。
しかし、複数のプレートが容赦なくぶつかり合うなか、この大陸は、数カ所の沈み込み帯に引きずり込まれた。
大アドリア大陸は、地球の奥深くに沈み込む際、上に重なったプレートによってその最上層を削り取られた。
まるで巨人が巨大なリンゴの皮を剥くような具合だ。
こうして削り取られた残骸が、イタリアの背骨と呼ばれるアペニン山脈のほか、トルコやギリシャ、アルプス、バルカン半島の山々を形成する礎となった。
一方で、大アドリア大陸の一部は沈み込むことも削り取られることもなく、残った。
その名残は現在、イタリアのブーツのかかと部に見られ、ベネチアからトリノにかけて散在し、クロアチアのイストリア地方でも確認できる。
つまり、失われた大陸の断片は絶好のリゾートとなっているわけだ。
断片になった地質学的な過去を再構築することが、現在を知る鍵になると、今回の論文の著者であるオランダ、ユトレヒト大学の
地質学者ダウエ・ファン・ヒンスベルゲン氏は言う。
■時計の針を巻き戻す
三畳紀(2億5000万年前〜2億130万年前)以降の地中海の大陸移動を再現するには、重大な課題がいくつかあった。
これまでもかなりの時間をかけて調べられてきたが、地質のジグソーパズルは非常に難解で、詳細な分析は困難だった。
「地中海は、めちゃくちゃなのです」と米テキサス大学ダラス校のプレートテクトニクスの専門家ロバート・スターン氏は話す。
なお、同氏は今回の研究には関わっていない。
乱雑な地中海エリアで、数人の地質学者が過去にも、失われた大陸の存在を示すヒントを発見してきた。
だが、その説を詳しく解き明かすのは困難だった。大陸の残骸は30カ国ほどに散らばり、それぞれに独自のモデルや調査が行われてきたからだ。
物事を整理するため、研究チームは10年を費やし、地中海地域全体から膨大な地質学的なデータを収集、GPlatesというソフトウエアを用いて
自分たちのモデルに当てはめた。このソフトウエアのおかげで、過去15年ほどでプレートテクトニクスのより詳細な視覚化と微調整が可能になった。
研究チームは忍耐強く作業を行い、失われた大陸の物語に欠けていた章を明らかにした。
およそ2億4000万年前、大アドリア大陸はパンゲア超大陸の一部だった。
だが2000万年後に現在のアフリカから離れ、それからさらに4000万年後に現在のフランスとスペインから分離し、孤立した大陸になった。
大アドリア大陸の地形についてはまだ謎に包まれているが、おそらく大部分が水面下に沈んでおり、複数の島が海から顔を出していたと考えられる。
海からニュージーランドとニューカレドニアが顔を出すジーランディア大陸のようなものだ。
あるいは、米フロリダキーズのように、群島が波間に浮かんでいたのかもしれない。
■不朽の業績
大アドリア大陸の崩壊が始まったのは1億年前、現在の南ヨーロッパにぶつかり、一部が地中海地域全体に広範に広がる
複数のプレートの下に潜り込んだ時のこと。
大陸が手当たり次第に沈み込んだということは、「小さな断片それぞれに独自の歴史があった」ということだとファン・ヒンスベルゲン氏は話す。
「その後、現在の雑然とした地中海に落ち着いたのです」
しかし重要なのは「大陸は消滅しても、その痕跡は残ることが多い」ことであり、山岳の形成もこうした痕跡の一つだと同氏は言う。
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