日米両政府は14日(日本時間15日)、米ワシントンで貿易協定交渉の事務レベル協議の2日間の日程を終えた。両国間の焦点である農産品の重要品目や自動車なども含めて議論が進展。関税優遇の条件を定める「原産地規則」の議論も始めた。21日からは米国で閣僚級協議を開く予定。並行して事務レベルでも協議しながら詰めの調整を続ける。両政府は9月の合意を目指し、交渉を加速する構えだ。
事務レベル協議は内閣官房の他、農水、経済産業両省の幹部らが出席。焦点となる牛肉や自動車なども議論したもようだ。14日の協議後に会見した内閣官房の渋谷和久政策調整統括官は「議論がかみ合ってきた」と一定の進展があったとの認識を示した。一方、「気を許さないところがある」と今後の協議次第で停滞する可能性もにじませた。
農産品では、関税率や輸入枠の他、環太平洋連携協定(TPP)加盟国全体に設けた「ワイド枠」や、牛肉などのセーフガード(緊急輸入制限措置)の発動水準などが焦点。個別品目での攻防が激しくなる見込みだ。
21日からの閣僚級協議に臨む茂木敏充経済再生担当相は、15日の閣議後会見で「残された課題について、できるだけ両者の意見を埋める協議を進めたい」と述べた。閣僚級協議は22日も開く予定。
今回の事務レベル協議で議論が始まった原産地規則は、関税削減などの優遇を受けるための原料や部品の調達基準を定めたもの。関税率などとセットで交渉の焦点となる。トランプ米政権は、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で米国産の自動車部品が多く使われるよう原産地規則を厳格化するなど、強いこだわりをみせる項目だ。
日米は、9月に米ニューヨークで開かれる国連総会に合わせた首脳会談で一定の合意を示したい考え。今月24日からフランスで開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)でも首脳会談で合意への道筋を議論する可能性がある。
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