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刑務所収容前に逃走「地検の準備不足」…公表遅れは「危機意識の欠如」
22:14
2019/08/06
保釈後に窃盗罪などで実刑判決が確定し、収容しようとした男が逃走した事件で、横浜地検と最高検は6日、検証結果と再発防止策を公表した。検察側の準備や対策の不足が逃走を招き、危機意識の欠如や連絡体制の不備が公表の遅れにつながったと結論付けた。中原亮一・同地検検事正(59)らは同日付で注意などの処分を受けた。
事件は6月19日午後1時過ぎに発生。2月に懲役3年8月の判決が確定した小林誠被告(43)(公務執行妨害罪などで起訴)が、収容のため神奈川県愛川町の自宅を訪れた地検小田原支部の事務官らに包丁を振り回し、乗用車で逃走した。地検が周辺自治体などに逃走を伝えたのは、発生から3時間以上たってからだった。
検証結果によると、粗暴な面があった小林被告が収容に強く抵抗する可能性があったが、地検は人員配置などを十分に検討していなかった。応援の警察官とも具体的な方法や手順を綿密に打ち合わせず、警棒や防刃チョッキも用意していなかった。
逃走後、責任者の小田原支部長は午後1時半頃に逃走の報告を受けたが、「公表するかどうかは警察が判断する」と思い込み、午後3時半過ぎまで上司の次席検事に連絡しなかった。検証結果は、公表の遅れについて「主体的かつ迅速に対処するという危機意識が不十分だった」と指摘。今後は捜査・公判や広報の担当らを交え、収容の準備や装備に万全を期し、自治体への緊急連絡体制も構築するとした。
最高検は6日付で全国の高検と地検に対し、収容マニュアルの整備などを求める通達を出した。