https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/071600411/
※リンク先に動画あり
近年、ペットとしてブタを飼う人が増えている。
米国とカナダで飼育されているいわゆる「ミニブタ」の数は、1998年の20万匹からおそらく100万匹まで増加している。
ここで「いわゆる」をつけたのは、ミニブタという種は存在しないからだ。ミニブタは小型のブタの総称ではあるものの、
ペットとしては「ミニ」というほど小さくない。一部の無責任なブリーダーに騙されて、それを知らずにブタを購入する人がたくさんいる。
ミニであろうとなかろうと、すべてのブタは大きくなる。そして、大きくなったブタの大半がシェルターで生涯を終えるか、安楽死させられている。
専門家はミニブタを飼おうと考えている人々に対して、飼育に伴う責任とリスクを十分に理解するよう助言している。
とはいえ、相棒としてブタを飼う人が増えているなかで、ブタが飼い主とどのぐらい交流できるかを知るのは重要だ。
このほど、それぞれ生後4カ月の子ブタと子イヌが、人間の合図にどのように反応するかを比べた実験結果が学術誌「Animal Cognition」に発表された。
イヌと比べたのは、人間とのコミュニケーションに関する研究がたくさんあると同時に、ブタとイヌに共通点が多いからだ。
ブタもイヌも知能が高く、友好的で、しばしば魅力的なペットになる。
もちろん、イヌのほうが立場は有利だ。
「犬が家畜化されたのは1万5000年以上前ですが、ブタが家畜化されてからまだ1万年もたっていないからです」
と 研究チームを率いたハンガリー、エトヴェシュ・ロラーンド大学の動物行動学者リンダ・ゲレンチェール氏は言う。
■ブタの動機の決め手は食べ物
最初の実験で、科学者たちはハンガリーの家庭から、ミネソタミニブタと雑種のミニブタを10匹と、8品種のイヌ10匹を集めた。
動物たちは飼い主と女性の実験者とともに1匹ずつ室内に入った。実験者は動物に2分おきに餌を与え、その間の反応を観察した。
子イヌと子ブタが実験者を見たり触れたりした頻度は同じだった。
しかし、期待していた餌が与えられないと、子ブタは実験者への関心を失って好き勝手な行動を始め、子イヌだけが実験者の顔を見続けた。
その理由を、ブタは食べ物によって強く動機づけられるからだろうと、米カリフォルニア大学デービス校の動物科学者
クリスティーナ・ホーバック助教は推測する。
イノシシや野生化したブタは、1日8〜10時間は物を食べていて、雑食性のため、周りにある食べ物をできるだけ多く食べようとするのだ。
第2の実験では、科学者たちは動物たち(今度は9匹の子ブタと9匹の子イヌ)が、人間が指を差す身ぶりにどのように反応するかを調べた。
実験者は動物の前方に膝立ちをして、床の左右に原色の容器を置いた。
餌が入っているのは片方だけで、実験者はその餌が入っている方の容器を指差す。
すると、イヌは指で示された方の容器に向かっていったが、ブタは指差しとは関係なくランダムに容器を選び、最初に選んだ容器に毎回向かっていった。
■ブタは人間の身ぶりを十分に理解できる
ブタとイヌの歴史と解剖学的特徴を考えれば、実験の結果を理解するのは簡単だと科学者は言う。
例えばイヌは「人間と緊密に協力して働くために交配されてきたので、人間の注意に関する情報を探すことがイヌにとって重要になったのです」
とゲレンチェール氏は言う。
さらにイヌは、かわいらしい表情を作り出す特殊な眉の筋肉さえ進化させた。これはイヌの祖先のオオカミにはないものだ。
一方ブタは「食肉生産を最適化する」ために交配されてきた。「ブタが人間の顔をあまり見ないのも、それである程度説明できます」と彼女は言う。
ホーバック氏は、イヌは仲間の視覚的な合図(例えば、むき出しにされた歯や寝かせた耳など)を探すのに対し、ブタは仲間の口や鼻の匂いなど、
嗅覚に依存していることも指摘した。
解剖学的特徴も関係がある。ブタはイヌほど首が柔軟ではなく、長い間、頭を上げていられない。そのせいで実験者の身ぶりに気付きにくかった可能性がある。
それでも、ブタの知能は高く、人間の身ぶりを十分に理解できるとホーバック氏は言う。
※続きはソースで
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近年、ペットとしてブタを飼う人が増えている。
米国とカナダで飼育されているいわゆる「ミニブタ」の数は、1998年の20万匹からおそらく100万匹まで増加している。
ここで「いわゆる」をつけたのは、ミニブタという種は存在しないからだ。ミニブタは小型のブタの総称ではあるものの、
ペットとしては「ミニ」というほど小さくない。一部の無責任なブリーダーに騙されて、それを知らずにブタを購入する人がたくさんいる。
ミニであろうとなかろうと、すべてのブタは大きくなる。そして、大きくなったブタの大半がシェルターで生涯を終えるか、安楽死させられている。
専門家はミニブタを飼おうと考えている人々に対して、飼育に伴う責任とリスクを十分に理解するよう助言している。
とはいえ、相棒としてブタを飼う人が増えているなかで、ブタが飼い主とどのぐらい交流できるかを知るのは重要だ。
このほど、それぞれ生後4カ月の子ブタと子イヌが、人間の合図にどのように反応するかを比べた実験結果が学術誌「Animal Cognition」に発表された。
イヌと比べたのは、人間とのコミュニケーションに関する研究がたくさんあると同時に、ブタとイヌに共通点が多いからだ。
ブタもイヌも知能が高く、友好的で、しばしば魅力的なペットになる。
もちろん、イヌのほうが立場は有利だ。
「犬が家畜化されたのは1万5000年以上前ですが、ブタが家畜化されてからまだ1万年もたっていないからです」
と 研究チームを率いたハンガリー、エトヴェシュ・ロラーンド大学の動物行動学者リンダ・ゲレンチェール氏は言う。
■ブタの動機の決め手は食べ物
最初の実験で、科学者たちはハンガリーの家庭から、ミネソタミニブタと雑種のミニブタを10匹と、8品種のイヌ10匹を集めた。
動物たちは飼い主と女性の実験者とともに1匹ずつ室内に入った。実験者は動物に2分おきに餌を与え、その間の反応を観察した。
子イヌと子ブタが実験者を見たり触れたりした頻度は同じだった。
しかし、期待していた餌が与えられないと、子ブタは実験者への関心を失って好き勝手な行動を始め、子イヌだけが実験者の顔を見続けた。
その理由を、ブタは食べ物によって強く動機づけられるからだろうと、米カリフォルニア大学デービス校の動物科学者
クリスティーナ・ホーバック助教は推測する。
イノシシや野生化したブタは、1日8〜10時間は物を食べていて、雑食性のため、周りにある食べ物をできるだけ多く食べようとするのだ。
第2の実験では、科学者たちは動物たち(今度は9匹の子ブタと9匹の子イヌ)が、人間が指を差す身ぶりにどのように反応するかを調べた。
実験者は動物の前方に膝立ちをして、床の左右に原色の容器を置いた。
餌が入っているのは片方だけで、実験者はその餌が入っている方の容器を指差す。
すると、イヌは指で示された方の容器に向かっていったが、ブタは指差しとは関係なくランダムに容器を選び、最初に選んだ容器に毎回向かっていった。
■ブタは人間の身ぶりを十分に理解できる
ブタとイヌの歴史と解剖学的特徴を考えれば、実験の結果を理解するのは簡単だと科学者は言う。
例えばイヌは「人間と緊密に協力して働くために交配されてきたので、人間の注意に関する情報を探すことがイヌにとって重要になったのです」
とゲレンチェール氏は言う。
さらにイヌは、かわいらしい表情を作り出す特殊な眉の筋肉さえ進化させた。これはイヌの祖先のオオカミにはないものだ。
一方ブタは「食肉生産を最適化する」ために交配されてきた。「ブタが人間の顔をあまり見ないのも、それである程度説明できます」と彼女は言う。
ホーバック氏は、イヌは仲間の視覚的な合図(例えば、むき出しにされた歯や寝かせた耳など)を探すのに対し、ブタは仲間の口や鼻の匂いなど、
嗅覚に依存していることも指摘した。
解剖学的特徴も関係がある。ブタはイヌほど首が柔軟ではなく、長い間、頭を上げていられない。そのせいで実験者の身ぶりに気付きにくかった可能性がある。
それでも、ブタの知能は高く、人間の身ぶりを十分に理解できるとホーバック氏は言う。
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