国立天文台は7月12日、ライス大学のAndrea Isella氏をはじめとした国際研究チームのアルマ望遠鏡を使った観測によって、生まれたばかりの太陽系外惑星の周囲に存在する「周惑星円盤(しゅうわくせいえんばん)」を初めて観測することに成功したと発表しました。
観測の対象となったのは、ケンタウルス座の方向およそ370光年先に位置する若い恒星「PDS 70」です。PDS 70の周囲はガスや塵が集まった原始惑星系円盤が取り囲んでいますが、その内側に「PDS 70b」および「PDS 70c」という2つの系外惑星が存在することが、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」による観測ですでに判明しています。
研究チームは今回、高い解像度を誇るアルマ望遠鏡を使って、直径0.1mmほどの塵が放つ電波を観測しました。VLTによる過去の観測データも含めて検討した結果、太陽から海王星までとほぼ同じ距離の軌道を公転する外側の惑星PDS 70cの周囲に、複数の衛星を生み出せるほどの塵の円盤、すなわち周惑星円盤が存在することを突き止めたのです。
PDS 70cの質量は最小でも木星と同程度、最大でも木星の10倍ほどと見積もられています。仮にその質量が予測の上限に近いほど重ければ、惑星サイズの衛星が形成される可能性が指摘されています。
下の画像は、アルマ望遠鏡の電波による観測結果(オレンジ)に、ヨーロッパ南天天文台のVLTで観測した可視光線(水色)と赤外線(赤)のデータを重ね合わせたもの。矢印の先にPDS 70b(中央下)とPDS 70c(中央右)が存在しています。
また、PDS 70cは惑星としてほぼ完成した状態にあり、周惑星円盤を伴っているのに対し、太陽から天王星までと同じくらいの軌道にある内側の惑星PDS 70bは、長い尾のような塵の塊を従えつつ公転しているらしいこともわかりました。
「これが何を意味するのかはまだわからない」とIsella氏は語っていますが、恒星がほとんど放たない周波数の電波を使うアルマ望遠鏡では、時間を空けて観測することで、塵が変化していく様子を捉えることが可能です。「太陽系形成初期の惑星の軌道について独自の知見を与えてくれるでしょう」と、Isella氏は継続的な観測に期待を寄せています。
https://sorae.info/030201/2019_7_15_alma.html
観測の対象となったのは、ケンタウルス座の方向およそ370光年先に位置する若い恒星「PDS 70」です。PDS 70の周囲はガスや塵が集まった原始惑星系円盤が取り囲んでいますが、その内側に「PDS 70b」および「PDS 70c」という2つの系外惑星が存在することが、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」による観測ですでに判明しています。
研究チームは今回、高い解像度を誇るアルマ望遠鏡を使って、直径0.1mmほどの塵が放つ電波を観測しました。VLTによる過去の観測データも含めて検討した結果、太陽から海王星までとほぼ同じ距離の軌道を公転する外側の惑星PDS 70cの周囲に、複数の衛星を生み出せるほどの塵の円盤、すなわち周惑星円盤が存在することを突き止めたのです。
PDS 70cの質量は最小でも木星と同程度、最大でも木星の10倍ほどと見積もられています。仮にその質量が予測の上限に近いほど重ければ、惑星サイズの衛星が形成される可能性が指摘されています。
下の画像は、アルマ望遠鏡の電波による観測結果(オレンジ)に、ヨーロッパ南天天文台のVLTで観測した可視光線(水色)と赤外線(赤)のデータを重ね合わせたもの。矢印の先にPDS 70b(中央下)とPDS 70c(中央右)が存在しています。
また、PDS 70cは惑星としてほぼ完成した状態にあり、周惑星円盤を伴っているのに対し、太陽から天王星までと同じくらいの軌道にある内側の惑星PDS 70bは、長い尾のような塵の塊を従えつつ公転しているらしいこともわかりました。
「これが何を意味するのかはまだわからない」とIsella氏は語っていますが、恒星がほとんど放たない周波数の電波を使うアルマ望遠鏡では、時間を空けて観測することで、塵が変化していく様子を捉えることが可能です。「太陽系形成初期の惑星の軌道について独自の知見を与えてくれるでしょう」と、Isella氏は継続的な観測に期待を寄せています。
https://sorae.info/030201/2019_7_15_alma.html