水俣市議会 消える「公害」 特別委名称変更案可決 「水俣病隠し」患者ら反発
熊本県水俣市議会(定数16)は3日、公害環境対策特別委員会の名称を環境対策特別委に変更する議員提出議案を賛成多数で可決した。1964年の公害対策特別委の設置以来55年続いてきた特別委から「公害」の文字が消えることになり、患者団体などは「水俣病を巡る市議会の後退姿勢が鮮明になった」と一斉に反発している。
4月の改選後、市議会で多数を占めた保守系の市議が「いつまでも『公害』を掲げていては、街のイメージに関わる」と改称を発案。水俣病の原因企業チッソの事業子会社JNC社員2人を含む最大会派の代表が、6月7日の議会運営委員会で提案した。
3日の本会議で、提案者は「環境全般にわたり幅広く議論する必要があるため」と説明した上で「設置目的は変えず、水俣病問題も引き続き議論する」と強調。賛成討論で別の市議は「55年もたち、もはや形骸化している」「今は熊本県議会にも『水俣病』や『公害』を冠した特別委は存在しない」と指摘した。
市議5人が反対討論し「水俣がどこに向かうのか、世界が見ている。議会が拙速な判断をしてはいけない」と訴えたが、採決の結果、賛成9、反対6で可決された。
閉会後、岩阪雅文議長に抗議文を手渡した患者団体側は記者会見を開き、「早く水俣病を消そう、なくそうという心の表れだ」と非難した。一方、提案した市議の1人は「改称は水俣を明るい街に改革する第一歩。JNC上場を含め、いろんな改革に向け行動していかなければいけない」と話す。
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2019/7/4 6:00 (2019/7/4 9:57 更新) 西日本新聞