https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/post-12382.php
穀物価格の低迷や、中国との貿易戦争長期化に困り果て、最近まで非合法だった作物に救いを求める米農家が増えている。ヘンプ(麻)栽培だ。
大麻(マリファナ)の原料となる植物の一種であるヘンプは、食品や建築資材、そして不眠症からニキビ、心臓病に至る幅広い症状に効果があるとされる
カンナビジオール(CBD)など、多くの製品に利用されている。
ヘンプへの関心が高まったのは、2018年の米農業法改正によってヘンプが米麻薬取締局の管理対象から外され、米農務省(USDA)の管轄となってからだ。
マリファナと異なり、産業用ヘンプには、使用者を「ハイ」にさせる量の精神活性化合物テトラヒドロカンナビノール(THC)は含まれていない。
新ルールでは、USDAヘンプの栽培許可を農家に出すことになっているが、同省はまだ対応を取っておらず、引き続き各州が許可を出している。
産業用ヘンプの作付け面積は、2018年の約3万1600ヘクタールから倍増しそうだと、ヘンプ利用を推進する団体「ボート・ヘンプ」のエリック・スティーンストラ氏は言う。
2017年には、2014年の改正農業法で認められた試験プログラムで、約1万ヘクタールが作付けされた。米国のヘンプ市場は、供給とともに拡大している。
ボート・ヘンプと業界誌「ヘンプ・ビジネス・ジャーナル」によると、米国では2018年にヘンプの売り上げが11億ドル(約1190億円)に成長し、
2022年までに19億ドルに拡大すると予測されている。
利益のポテンシャルは高い。例えば、食品グレードのヘンプは1エーカー(約4000平方メートル)当たり750ドルの手取り収入を農家にもたらすと、
ウィスコンシン州プレスコットのヘンプ処理業者「レガシー・ヘンプ」のケン・アンダーソン氏は言う。
ヘンプの種は、パンに入れて焼いたり、シリアルやサラダに振りかけて食べる。
「それは、トウモロコシや小麦など目じゃない利益になる」と、アンダーソン氏は言う。
対照的に、大豆の収益は1エーカー当たり150ドルかそれ以下だ。米国産大豆の中国輸出は、昨年貿易戦争が本格化して以降、急減している。
だがキャッシュを手にするためには、米農家はまず馴染みのないこの作物の栽培方法を学び、変化する規制や他の不確定要素と格闘しなくてはならない。
「誰もまったく経験がない」。
カンザス州オーガスタのビジネスマンで、家族が所有する牧草地で今回初めてヘンプを栽培しようと考えているリック・ガッシュさん(46)は言う。
■新たな規制の最前線
ヘンプ・ビジネス・ジャーナルによると、ヘンプの花の部分に成分が集中しているCBDの精油は、2017年のヘンプ製品売り上げ全体の23%を占めた。
ヘンプの作付けを監督するのはUSDAだが、ヘンプの規制はおおむね米食品医薬品局(FDA)が担当する。FDAは、CBDを含んだ食品やサプリメントは
承認していないが、こうした製品はすでに広く流通している。FDAは、販売を規制するような対策はほとんど講じていない。
さらに、2つ以上の州にまたがる取引は主にFDAの管轄だが、これはヘンプ製品により寛容な法律の州内で生産・販売される製品は合法であることを意味する。
※中略
■CBD入りアイスクリーム
米金融サービスのコーウェン&カンパニーのアナリストは、一部で不安定な要素はあるものの、CBDを原材料に含む人間用とペット用の製品の米国売り上げは、
2025年までに160億ドルに達すると予測する。
企業も動いている。米最大の食料品チェーンであるクローガーは11日、17州の1000近い店舗で、CBD入りのクリームやバーム、オイルを販売すると発表した。
英蘭系日曜品大手ユニリーバ傘下ベン&ジェリーズのアイスクリームチェーンは5月末、CBDオイルの消費が「連邦レベルで合法化」され次第、
CBD入りアイスクリームを発売すると表明した。
2014年にヘンプ栽培の実験プログラムを始めたケンタッキー州では、それまでタバコ栽培に従事してきた農家が、ヘンプの方が世間の評判も良く、
かつ収益性も高いという事実に気づき始めた。
「タバコを栽培していた時は、健康に悪いものを栽培してると皆に言われた」と、タバコ農家の8代目ブライアン・ファーニッシュさんは言う。
「人をいい気持ちにさせるものを育てるのは楽しいよ」
トウモロコシや小麦などの農産品を育てる農家が多い中西部では、貿易戦争を脅威に感じており、より大規模な輪作の一作物として、
手間がかかるCBD精油のためというよりも、種子と繊維のためにヘンプの栽培を考えている農家もある。
※続きはソースで
穀物価格の低迷や、中国との貿易戦争長期化に困り果て、最近まで非合法だった作物に救いを求める米農家が増えている。ヘンプ(麻)栽培だ。
大麻(マリファナ)の原料となる植物の一種であるヘンプは、食品や建築資材、そして不眠症からニキビ、心臓病に至る幅広い症状に効果があるとされる
カンナビジオール(CBD)など、多くの製品に利用されている。
ヘンプへの関心が高まったのは、2018年の米農業法改正によってヘンプが米麻薬取締局の管理対象から外され、米農務省(USDA)の管轄となってからだ。
マリファナと異なり、産業用ヘンプには、使用者を「ハイ」にさせる量の精神活性化合物テトラヒドロカンナビノール(THC)は含まれていない。
新ルールでは、USDAヘンプの栽培許可を農家に出すことになっているが、同省はまだ対応を取っておらず、引き続き各州が許可を出している。
産業用ヘンプの作付け面積は、2018年の約3万1600ヘクタールから倍増しそうだと、ヘンプ利用を推進する団体「ボート・ヘンプ」のエリック・スティーンストラ氏は言う。
2017年には、2014年の改正農業法で認められた試験プログラムで、約1万ヘクタールが作付けされた。米国のヘンプ市場は、供給とともに拡大している。
ボート・ヘンプと業界誌「ヘンプ・ビジネス・ジャーナル」によると、米国では2018年にヘンプの売り上げが11億ドル(約1190億円)に成長し、
2022年までに19億ドルに拡大すると予測されている。
利益のポテンシャルは高い。例えば、食品グレードのヘンプは1エーカー(約4000平方メートル)当たり750ドルの手取り収入を農家にもたらすと、
ウィスコンシン州プレスコットのヘンプ処理業者「レガシー・ヘンプ」のケン・アンダーソン氏は言う。
ヘンプの種は、パンに入れて焼いたり、シリアルやサラダに振りかけて食べる。
「それは、トウモロコシや小麦など目じゃない利益になる」と、アンダーソン氏は言う。
対照的に、大豆の収益は1エーカー当たり150ドルかそれ以下だ。米国産大豆の中国輸出は、昨年貿易戦争が本格化して以降、急減している。
だがキャッシュを手にするためには、米農家はまず馴染みのないこの作物の栽培方法を学び、変化する規制や他の不確定要素と格闘しなくてはならない。
「誰もまったく経験がない」。
カンザス州オーガスタのビジネスマンで、家族が所有する牧草地で今回初めてヘンプを栽培しようと考えているリック・ガッシュさん(46)は言う。
■新たな規制の最前線
ヘンプ・ビジネス・ジャーナルによると、ヘンプの花の部分に成分が集中しているCBDの精油は、2017年のヘンプ製品売り上げ全体の23%を占めた。
ヘンプの作付けを監督するのはUSDAだが、ヘンプの規制はおおむね米食品医薬品局(FDA)が担当する。FDAは、CBDを含んだ食品やサプリメントは
承認していないが、こうした製品はすでに広く流通している。FDAは、販売を規制するような対策はほとんど講じていない。
さらに、2つ以上の州にまたがる取引は主にFDAの管轄だが、これはヘンプ製品により寛容な法律の州内で生産・販売される製品は合法であることを意味する。
※中略
■CBD入りアイスクリーム
米金融サービスのコーウェン&カンパニーのアナリストは、一部で不安定な要素はあるものの、CBDを原材料に含む人間用とペット用の製品の米国売り上げは、
2025年までに160億ドルに達すると予測する。
企業も動いている。米最大の食料品チェーンであるクローガーは11日、17州の1000近い店舗で、CBD入りのクリームやバーム、オイルを販売すると発表した。
英蘭系日曜品大手ユニリーバ傘下ベン&ジェリーズのアイスクリームチェーンは5月末、CBDオイルの消費が「連邦レベルで合法化」され次第、
CBD入りアイスクリームを発売すると表明した。
2014年にヘンプ栽培の実験プログラムを始めたケンタッキー州では、それまでタバコ栽培に従事してきた農家が、ヘンプの方が世間の評判も良く、
かつ収益性も高いという事実に気づき始めた。
「タバコを栽培していた時は、健康に悪いものを栽培してると皆に言われた」と、タバコ農家の8代目ブライアン・ファーニッシュさんは言う。
「人をいい気持ちにさせるものを育てるのは楽しいよ」
トウモロコシや小麦などの農産品を育てる農家が多い中西部では、貿易戦争を脅威に感じており、より大規模な輪作の一作物として、
手間がかかるCBD精油のためというよりも、種子と繊維のためにヘンプの栽培を考えている農家もある。
※続きはソースで