https://www.bbc.com/japanese/48741412
チェコの首都プラハで23日、アンドレイ・バビシュ首相の退任を求めるデモが行われ、主催者発表で25万人が参加した。
バビシュ首相は汚職疑惑で刑事捜査を受けているほか、欧州連合(EU)からは補助金をめぐる利益相反の疑惑がかけられている。
首相は全ての疑惑を否定している。
チェコでは今年に入ってたびたびデモが行われているが、今回のものは1989年に共産主義政権が崩壊した
ビロード革命以来で最大だという。
デモを計画したのは「Million Moments for Democracy」というグループで、小さな学生中心の団体だったが大きな動きに発展した。
リーダーを務めるミクラス・ミナール氏はAFPの取材に対し、
「空撮写真から判断すると約25万人が参加している。あとどれくらい増えるか楽しみだ」と話した。
■バビシュ首相の疑惑とは
バビシュ首相は、10年以上前にEU補助金200万ユーロ(約2億5000万円)の不正受給に関わったとして
チェコ国内で刑事捜査の対象となっている。
警察によると、富豪のバビシュ氏は農場や会議場の保有権を隠し、本来なら小企業の支援に使われるEU補助金を
不正に受け取った疑惑がある。
また、自らが率いてきたコングロマリット(複合企業)アグロフェルトも、EUによって利益相反の調査を受けている。
バビシュ氏は首相就任前の2017年にアグロフェルトの持ち分を2カ所の信託に移した。
だが、今月初めに流出した欧州委員会の報告書草案には、バビシュ氏は現在も同グループから利益を得ていると書かれていた。
報告書では、バビシュ氏には補助金4億5100万チェココルナ(約21億5000万円)の返還義務があるとしている。
バビシュ首相は全ての疑惑には根拠がなく、政治的な動機によるものだとしている。
警察が検察当局にバビシュ氏の起訴を推奨した翌日には、ヤン・クニェジーネク法相が解任され、マリエ・ベネソバ氏が後任となった。
ベネソバ氏は以前、警察が議会にバビシュ氏の不逮捕特権のはく奪を要請した際、反対票を投じており、
デモ参加者からは親バビシュ派だと批判が出ている。
一方、EUの報告書についてバビシュ氏は「チェコに対する攻撃だ」として、補助金の返還を拒否した。
「もちろんチェコはEU補助金を一切返還しない。私は利益相反についてチェコの法律もEUの法律も破っておらず、返還する理由がない」
その上で、首相を退任するつもりはないと述べている。