こういうのもいるみたい。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190521-00010000-yomonline-sctch 「先生が他の子を怒るのが怖い」「騒がしい教室が苦手」――。
生まれつき、人の気持ちや周りの刺激に敏感な特性を持っている子どもがいることを知っているだろうか。
「HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)」と呼ばれ、不登校やひきこもりの背景の一つとして、注目されている。(田中ひろみ)
■病気や障害ではなく、長所でもあるが…不登校・引きこもりの背景に
「うちの子のことだ」
千葉県内に住む女性(38)は、4年前、本でHSCのことを知った。
小6の長女(11)は、小さい頃から、服がチクチクするのを嫌がったり、大きな音でパニックを起こしたりしていた。
HSCは、感覚に敏感という特徴から、発達障害の一つ「自閉症スペクトラム障害」と勘違いされることもあるが、人の気持ちをくみ取るのが得意という点が異なる。
長女も、保育園の頃から、同級生に髪の毛を引っ張られても、「あの子はかまってほしくてやっているだけだから大丈夫」と理解を示したり、
相手を傷つけない言いまわしで誘いを断ったりしていた。
女性は、「親の私より、周りに気を使う子だな」と感じていた。
小学校に入ってからも、「隣の席の子と何か話さなきゃと思うと疲れる」「他の子が怒られていると怖い」と話した。
いじめに遭ったわけではなく、友達もいるが、昨秋から、「学校は疲れる。行きたくない。家が落ち着く」と言って欠席するようになった。
女性は「本人の特性に合う環境を探した方が良いかも」と、自宅で学ぶホームスクーリングを実践する親たちに相談しているほか、
私立の中学に入ることを検討している。
HSCは病気や障害ではなく、共感力や思考力の高さは長所でもある。
ただ、本人や親、教師らがHSCについて知らないと、「変な味がする」「肌触りが嫌」など、他の人には気にならないことを苦痛に感じて不満を訴え、
「わがまま」と誤解されることがある。
学校に行くだけで疲れてしまったり、大勢の人の輪の中に入るのが苦手だったりして、「みんなと同じようにできない」と悩むことも。
不眠や吐き気、頭痛などを訴えて、向精神薬を処方されてしまうケースもあるという。
幼い頃は、あまり眠らず、すぐ泣くことも多く、親も「育てにくい」と悩むケースが少なくない。
HSCを研究する臨床心理士で、スクールカウンセラーの高橋亜希さんは、
「相談に来る子の半数くらいがHSC。『神経質』『気にしすぎ』と周りから言われて傷ついていたけれど、本人がHSCと分かるだけで、
『人と違っていても良いんだ』と気持ちが楽になる」と話す。
■否定せずに受け止めて
人一倍、敏感な子を育てるうえで、親や教師らはどのようなことに気をつければ良いのだろうか。
HSCの子育てについての著書がある精神科医の明橋大二さんは、「普通の子と同じ育て方をすると、HSCは自己否定感を持ってしまいがち」と指摘する。
例えば、「鉛筆の持ち方が悪い」と叱っただけで、否定の言葉を強く受け止めやすく、「お母さんは私のことが嫌なんだ」と感じてしまうことがある。
強い口調で叱らず、優しく注意したうえで、「この字はうまく書けているね」といったように、褒めることをセットにすると良いという。
「服がチクチクする」「変な臭いがする」「痛い」「怖い」といった訴えを、「気にしすぎ」「早くして」などと否定せず、「そうなんだね」と共感し、
受け止めることも大切だ。
教師の役割も重要になる。
明橋さんは、「先生の叱り声が怖い」「給食から変なにおいがするのに、残さず食べるように先生に言われて吐いてしまい、トラウマになった」といった理由で、
不登校になった子をたくさん診てきた。誰かが叱責(しっせき)を受けているのを見聞きするだけで、強いショックを受ける子もいる。
明橋さんは、「学校がつらい場合は、フリースクールやホームスクーリングという手もある。多様な学びがあっていい」と呼びかけている。
HSC
アメリカの心理学者、エレイン・アーロン氏が2002年頃に提唱し、ここ数年で日本にも広まり始めた。
感触やにおい、音、味、人の気持ちなど、何に対して特に敏感かは人によって違うが、
〈1〉深く考える〈2〉刺激を受けやすい〈3〉共感力が高い〈4〉ささいな変化に気付く――という4点が共通するという。
15〜20%が該当するとの調査もある。