トランプ米政権は24日、米議会の承認を経ずにサウジアラビアなど中東の三つの友好国に約81億ドル(約8800億円)相当の武器を売却すると発表した。中東に米軍約1500人を増派することも表明。いずれも対立するイランの脅威に対応するためとしているが、人権上の懸念からサウジへの武器売却に反対してきた議会から反発が出ている。
ポンペオ米国務長官の声明によると、武器の売却先はサウジ、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン。「イランからの攻撃を抑止し、友好国の防衛能力を高める」と説明。航空機や偵察に関わる装備品などで、ロイター通信によると、精密誘導兵器や対戦車ミサイルも含まれる。
米議会では、サウジなどが介入するイエメン内戦で多くの市民が犠牲になっていることや、サウジのムハンマド皇太子が関与したと疑われる記者殺害事件を受け、サウジやUAEへの武器売却に反対の声が強い。4月にはサウジへの軍事支援停止を求める決議案が出され、与党・共和党の一部も賛成し、上下両院で可決。トランプ大統領が拒否権を行使していた。
米国の武器輸出管理法では、緊急事態の場合は大統領が議会の承認を得ずに売却を決められるという例外措置があり、政権は今回「イランの脅威」を理由に使った。議会からは早速、「長期的な安全保障や人権を優先せず、サウジのような専制国家に恩恵を与えた」(野党・民主党のメネンデス上院議員)といった批判が上がっている。
一方、トランプ氏は24日、ホ…
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2019年5月25日21時28分
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