>>1 汚染されたまま返還される龍山米軍基地
2015-03-26
緑莎坪駅・キャンプ キム実態調査結果
発癌物質ベンゼン、石油系総炭化水素など
基準値の数十〜数千倍検出
基地内汚染源が除去できていない証拠
22日午後、龍山米軍基地油類汚染観測井点検行事に参加した市民が、ソウル市龍山区南営洞のキャンプ・キム17番ゲート付近を見て回っている。
韓米覚書のため内部調査は困難
来年に汚染浄化せずに返還
「来年返還されるんでしょう。今後どうなるか気になって出てきました。住民の立場としては発癌物質が出てくる地下水の汚染問題は心配です」
ソウル龍山(ヨンサン)区で生まれ育ったイ・チャンホ氏(47)は22日午後、文化芸術家の集いである「ゲート22」が主催したイベント」「龍山米軍基地塀伝い歩き」に参加した。
来年末に一部返還が予定された龍山米軍基地のゲート(出入口)は21カ所ある。 ゲート22という名称は、龍山米軍基地の未来を想像しようという意味でつけられた名前だ。
イ氏ら9人は13番ゲート(地下鉄4号線二村駅付近)から17番ゲート(三角地駅〜淑大入口駅中間地点)まで歩いた。
案内役を務めたホン・ソヒ氏(45)はマーク・リッパート駐韓米国大使が話して有名になった「一緒に歩みましょう」(we go together)という文が書かれたステッカーと油タンクの絵があるステッカーを塀に貼り付けた。
龍山米軍基地周辺の地下水で測定された有害物質の最大濃度。 単位:mg/l、資料:ソウル市 //ハンギョレ新聞社
米軍施設のキャンプ・キムがある17番ゲートに到着すると、緑色連合の活動家シン・スヨン氏が路上に設置された“観測井”を指して話した。「ソウル市は毎年、基地内油類による地下水汚染をモニタリングしている。
調査の度に汚染濃度が不規則に増減している」。龍山米軍基地の油類汚染は1998年以後に知らされたものだけで14件ある。
2001年には地下鉄6号線緑莎坪(ノクサピョン)駅周辺でガソリンと灯油成分が検出された。 基地から出た油が地下水に入って流れ込んだわけだ。
2006年にはキャンプ・キム前の地下電力溝排水口にも油が流入した。 米軍が使うジェット燃料(JP-8)だった。 ソウル市は毎年緑莎坪駅周辺とキャンプ・キムの周辺で汚染水を汲み出しているが、地下水汚染は終わっていない。
韓国農漁村公社京畿地域本部はソウル市の依頼を受けて昨年3〜11月、両地域の汚染実態を調査した。 先月出てきた委託研究報告書によれば、緑莎坪駅付近で発癌物質のベンゼンが基準値(0.015ミリグラム/リットル)の578.5倍が検出された。
有害物質であるトルエン、エチルベンゼン、キシレンも最高濃度が基準値を超過していた。 キャンプ・キムの前から出た石油系総炭化水素は基準値(1.5ミリグラム/リットル)の4434倍に達した。
イ・ドンス ソウル大環境大学院教授(有害化学物質管理専攻)は「発癌物質のベンゼン、有害化学物質の石油系総炭化水素が継続的に基準を超過して検出されるのは、米軍基地内の汚染源が依然として除去されていないということ」と説明した。
委託研究報告書も「油類汚染源がキャンプ・キム内にあることが明白だ。基地の内部情報なしに周辺部(基地周辺)だけを浄化することは効率性が低くならざるをえない」と話した。
汚染の事実が明らかになっても韓国政府と地方自治体が基地内を調査することは容易でない。 2001年に韓米が締結した「環境保護に関する特別了解覚書」には「人間の健康に対する急迫した実質的危険を招く汚染の治癒を速かに遂行する」と定められている。
チェ・ヨングン仁荷大学法学専門大学院教授は「米国が“急迫した危険”と判断して初めて基地内の調査が可能だ」と話した。
最近、京畿道東豆川(トンドゥチョン)のキャンプ・キャッスルと釜山堂甘(ダンガム)洞の米軍廃品リサイクル事業所(DRMO)の2カ所が汚染浄化をせずに韓国に返還された。 龍山基地もこうした前轍を踏みかねないと憂慮されている。
パクチョン・ギョンス平沢(ピョンテク)平和センター運営委員は「代表的な汚染基地であった釜山ハヤリア基地の浄化費用143億ウォン(約15億円)を韓国政府が賄った。
龍山基地では1000億ウォン(約11億円)を超える浄化費用がかかると予想する」と憂慮した。
ソウル市関係者は「基地内調査の必要性が高いので、2013年から米国と龍山基地内調査をどのようにするか、交渉を進めている」と話した。