https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190508-00000006-mai-soci
「働く女性の声を受け、専業主婦の年金が半額に?」――。そんな情報がネット上を駆け巡り、ツイッターでは「#働く女性の声」というハッシュタグも登場して年金行政への批判の声が殺到した。事実とすればショッキングな話だが、そもそも本当に専業主婦の年金半額案は検討されているのか。確かめてみた。
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厚労省「唐突だな、としか……」
だが、そもそも前提として「年金半減」は検討されているのか。厚生労働省年金局事業管理課に問い合わせると「唐突だな、としか……。なぜ今こんな記事が出るのか分かりませんね」と、電話口の男性職員は困惑した口調で話した。
ただ、第3号被保険者についての議論が記録された資料はあるという。厚労省の社会保障審議会年金部会の2015年1月21日の議事録だ。ここで「3号縮小」の方針が決まり、15年12月に閣議決定された第4次男女共同参画基本計画には「第3号被保険者を縮小していく方向で検討を進める」と書き込まれた。
「働く女性の声を根拠に議論はしていない」
部会の議事録をよく読むと、ポストの記事に重なる表現や内容が見られる。
委員による第3号被保険者制度が「不公平」だとの指摘や、「最後に純粋な無就業の専業主婦(夫)が3号として残る」「ここに対しては、夫婦年金分割の考え方を進めるべきだという意見、配偶者の所得によって保険料負担を求める意見、3号は免除者と同じ扱いとして半額の給付を保障し…」などの意見が記されているのだ。
ただ、あくまでも委員の意見であって部会の結論ではない。しかも、共稼ぎの妻や働く独身女性などから不満が出ているとの記述もない。
前述の厚労省の担当者は「働く女性の声を調査したことは、少なくともこの10年ほどはなく、その層の声を根拠に議論してきたという理解はしていない。むしろ女性の就労抑制につながる制度ではないか、との指摘が従来からあった」と話す。しかも近年は年金部会で3号被保険者の扱いは主要なテーマにはなっておらず、「年金半額」の意見については「合意が取れている段階では全くなく、課題は大きいと思っている」という。
「『無職の専業主婦』という言葉への反感大きかった」
ポストの記事とネット上の反応をどう見るか。ジャーナリストの治部れんげさんは「『無職の専業主婦』という言葉への反感が大きかったと思う。『働く女性VS主婦』の対立をあおるような書き方は問題ではないか」と話す。
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