故人をしのび 墓標に近況 御巣鷹の尾根開山 遺族が登山
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/128606
[2019/04/30]、上毛新聞
520人が犠牲となった1985年の日航ジャンボ機墜落事故の現場となった群馬県の「御巣鷹の尾根」(上野村楢原)が29日、冬季閉山期間を終えて開山した。尾根には遺族やボランティアら関係者が訪れ、故人をしのんだ。
◎犠牲の兄一家と両親の位牌
兄の栗原崇志さん=当時(33)=一家を亡くした栃木県大田原市の橋本毅さん(65)は家族の好物だった菓子や飲み物を供え、兄一家と両親の位牌いはいを墓標に並べた。昨年9月に母親を亡くし、「自分のことを生まれた時から知っている人がいなくなってしまった」と言葉を詰まらせた。
前橋市の板鼻昭さん(71)は大学時代の自転車競技部の先輩だった辻昌憲さん=当時(39)=の墓標を訪れた。64年の東京五輪に大学1年で出場した辻さんに憧れ、同じ大学に入学、卒業後も共に後進の指導に取り組んだ。「来年の東京五輪の日程を報告した。先輩の教え子も今度は指導者として活躍するだろう」とほほ笑んだ。
尾根管理人の黒沢完一さん(76)は登山道に向かう途中にある「みかえり地蔵」に新たな前掛けと頭巾を着けた。藤岡市の70代女性が贈ったものという。「今年も皆さんが安全に登山できるよう、見守ってほしい」と手を合わせた。