魚津市の魚津漁協が「魚津寒ハギ」としてブランド化に取り組んでいるウマヅラハギが今年、記録的不漁となっている。漁の最盛期となる1〜2月の魚津の漁獲量は、過去10年で最少の計13トンだった。県水産研究所(滑川市高塚)は「海水温の高さが影響した可能性が高い」としている。魚津の漁業者からは「こんな年は初めて」「残念」と落胆する声が上がっている。(新川支社編集部・松下奈々)
ウマヅラハギは、カワハギ科の魚で、魚津漁協は2008年度からブランド化を始めた。体長が25センチを超え、水槽で24時間以上活(い)け越しした上で活け締め脱血したものを「魚津寒ハギ如月王(きさらぎおう)」と名付け、プレミア商品として扱っている。
「例年の量に比べると、今年はゼロに等しいくらい少ない」。魚津市の50代の漁師はため息をつく。漁師の先輩から「雪が降ったらカワハギが来る」と教わってきたが、「今年はほとんど降らなかった。冬場が一番の稼ぎ時なのに弱りますよ」。別の60代の漁師は「毎日のように網の中が空っぽに近い状態だった。40年余り漁師をしてきたがこんな年は初めて」と話す。
県水産研究所は、ウマヅラハギを含むカワハギ類の統計をまとめている。年によって変動はあるが、カワハギ類の多くはウマヅラハギが占めており、1〜2月の県内の漁獲量は、魚津漁協がブランド化を始めた08年度以降最少の計90トンだった。県内全体で不漁となっている。
過去10年をみると、12年に大きく漁獲量が落ち込んでいるが翌年には回復するなど、変動が大きい。カワハギ類は、詳しい生態の研究が進んでおらず、同研究所海洋資源課の辻本良課長(49)は「身近な魚ではあるが、生態は未知な部分が多い」と言う。
現段階では、カワハギ類は日本海から東シナ海にかけて生息し、水温が下がると北から富山湾内に回遊してくると考えられている。一方、今冬の富山湾の平均水温は、記録的な高さとなった。2月末の観測では、定置網漁に影響しやすいという水深10〜100メートルの17定点平均で軒並み11・5度近くを記録。平年より0・91度〜1・13度高く、データが残る1954年以降で、同時期としては最高値となった。辻本課長は「暖冬が影響し、沿岸に寄ってこなかったのではないか」と推測する。
魚津漁協の油本憲太郎組合長(66)は「ブランド化しているだけに残念だ。自然が相手だけに来シーズンの回復を期待するしかない」と話している。
北日本新聞 2019年03月20日 05:00
http://webun.jp/item/7549177
ウマヅラハギは、カワハギ科の魚で、魚津漁協は2008年度からブランド化を始めた。体長が25センチを超え、水槽で24時間以上活(い)け越しした上で活け締め脱血したものを「魚津寒ハギ如月王(きさらぎおう)」と名付け、プレミア商品として扱っている。
「例年の量に比べると、今年はゼロに等しいくらい少ない」。魚津市の50代の漁師はため息をつく。漁師の先輩から「雪が降ったらカワハギが来る」と教わってきたが、「今年はほとんど降らなかった。冬場が一番の稼ぎ時なのに弱りますよ」。別の60代の漁師は「毎日のように網の中が空っぽに近い状態だった。40年余り漁師をしてきたがこんな年は初めて」と話す。
県水産研究所は、ウマヅラハギを含むカワハギ類の統計をまとめている。年によって変動はあるが、カワハギ類の多くはウマヅラハギが占めており、1〜2月の県内の漁獲量は、魚津漁協がブランド化を始めた08年度以降最少の計90トンだった。県内全体で不漁となっている。
過去10年をみると、12年に大きく漁獲量が落ち込んでいるが翌年には回復するなど、変動が大きい。カワハギ類は、詳しい生態の研究が進んでおらず、同研究所海洋資源課の辻本良課長(49)は「身近な魚ではあるが、生態は未知な部分が多い」と言う。
現段階では、カワハギ類は日本海から東シナ海にかけて生息し、水温が下がると北から富山湾内に回遊してくると考えられている。一方、今冬の富山湾の平均水温は、記録的な高さとなった。2月末の観測では、定置網漁に影響しやすいという水深10〜100メートルの17定点平均で軒並み11・5度近くを記録。平年より0・91度〜1・13度高く、データが残る1954年以降で、同時期としては最高値となった。辻本課長は「暖冬が影響し、沿岸に寄ってこなかったのではないか」と推測する。
魚津漁協の油本憲太郎組合長(66)は「ブランド化しているだけに残念だ。自然が相手だけに来シーズンの回復を期待するしかない」と話している。
北日本新聞 2019年03月20日 05:00
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