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残業帰りの人々や酔客で混み合う深夜の電車。たまたますいている車両を見つけて「やった!」と乗り込むと、そこには酔っ払いの吐き散らした「小間物」が……。こんな経験のある人は少なくないだろう。
週末の夜になると目立つこういった「汚物」、乗客にとって不快なのはもちろんだが、鉄道の現場社員たちにとっても悩みの種だ。放置すれば不快感を与えるだけでなく、利用者が滑って転倒する恐れがあるからだ。
特にやっかいなのは車内の場合。駅での停車中に清掃しなければならないが、短い停車時間で処理するのは至難の業だ。ターミナルなど大きな駅ならまだしも、駅係員の人数が少ない小さな駅では難しい。電車を運行する乗務員が対応するのはさらに困難だ。
全国発表で最優秀賞に
なんとかならないか――。そう考えた東京急行電鉄の電車運転士たちが、短時間で簡単に応急処置できるアイデアグッズを生み出した。名付けて「汚物カバーシート」だ。シートの大きさは45×60cm。表面は目立つように赤い枠を描き、注意書きの黄色いステッカーを貼ってある。裏には両面テープが付いており、使い方は車内の床や座席などで汚物の上にかぶせて固定するだけだ。材料は市販のペット用吸水シートのため、上から覆うだけで不快なにおいもカットできるという。
ペットを見てひらめいた
試作品は30×45cmのペット用吸水シートを使っていたが、これではカバーできないケースが多かった。もう1つは両面テープの粘着力が強すぎたこと。駅で清掃する際になかなかシートが剥がせず、時間がかかってしまったとの声があったのだ。これでは手間が増えて逆効果になってしまう。
ホームセンター巡りの日々
再び「素材探し」の日々が始まった。仕事の合間や休日にホームセンターを何軒も巡り、さまざまな種類のペット用吸水シートをそろえてサイズと吸水性を比較した。
「ペット用吸水シート持って仕事に来るんですよ。何の仕事なのかと(笑)」。両面テープも、調べてみると粘着力やさまざまな特性があった。「両面テープの世界も奥が深いんですね」と片瀬さんは笑う。
改良版は「このシートがあって助かった」「これがあると全然違う」と好評を呼び、6月から全国大会で発表する11月までの間に40件以上の使用実績があったという。
鉄道以外の応用にも期待
改良はその後も加えられており、最新版は手袋をしたままでも両面テープが剥がしやすいよう、角を浮かせる工夫を施している。
2020年東京五輪の会場などでも、観客席で飲み物をこぼした際などに使えるのでは……と、さまざまな場面への応用にも期待している。
週末の夜、混雑する電車内を不快にする「汚物」。乗務員の工夫が生んだカバーシートは、そんな環境を少しでも改善してくれるに違いない。もっとも、いちばん重要なのは利用者側の「吐くなら乗るな、吐くほど飲むな」という心がけではあるが……。
残業帰りの人々や酔客で混み合う深夜の電車。たまたますいている車両を見つけて「やった!」と乗り込むと、そこには酔っ払いの吐き散らした「小間物」が……。こんな経験のある人は少なくないだろう。
週末の夜になると目立つこういった「汚物」、乗客にとって不快なのはもちろんだが、鉄道の現場社員たちにとっても悩みの種だ。放置すれば不快感を与えるだけでなく、利用者が滑って転倒する恐れがあるからだ。
特にやっかいなのは車内の場合。駅での停車中に清掃しなければならないが、短い停車時間で処理するのは至難の業だ。ターミナルなど大きな駅ならまだしも、駅係員の人数が少ない小さな駅では難しい。電車を運行する乗務員が対応するのはさらに困難だ。
全国発表で最優秀賞に
なんとかならないか――。そう考えた東京急行電鉄の電車運転士たちが、短時間で簡単に応急処置できるアイデアグッズを生み出した。名付けて「汚物カバーシート」だ。シートの大きさは45×60cm。表面は目立つように赤い枠を描き、注意書きの黄色いステッカーを貼ってある。裏には両面テープが付いており、使い方は車内の床や座席などで汚物の上にかぶせて固定するだけだ。材料は市販のペット用吸水シートのため、上から覆うだけで不快なにおいもカットできるという。
ペットを見てひらめいた
試作品は30×45cmのペット用吸水シートを使っていたが、これではカバーできないケースが多かった。もう1つは両面テープの粘着力が強すぎたこと。駅で清掃する際になかなかシートが剥がせず、時間がかかってしまったとの声があったのだ。これでは手間が増えて逆効果になってしまう。
ホームセンター巡りの日々
再び「素材探し」の日々が始まった。仕事の合間や休日にホームセンターを何軒も巡り、さまざまな種類のペット用吸水シートをそろえてサイズと吸水性を比較した。
「ペット用吸水シート持って仕事に来るんですよ。何の仕事なのかと(笑)」。両面テープも、調べてみると粘着力やさまざまな特性があった。「両面テープの世界も奥が深いんですね」と片瀬さんは笑う。
改良版は「このシートがあって助かった」「これがあると全然違う」と好評を呼び、6月から全国大会で発表する11月までの間に40件以上の使用実績があったという。
鉄道以外の応用にも期待
改良はその後も加えられており、最新版は手袋をしたままでも両面テープが剥がしやすいよう、角を浮かせる工夫を施している。
2020年東京五輪の会場などでも、観客席で飲み物をこぼした際などに使えるのでは……と、さまざまな場面への応用にも期待している。
週末の夜、混雑する電車内を不快にする「汚物」。乗務員の工夫が生んだカバーシートは、そんな環境を少しでも改善してくれるに違いない。もっとも、いちばん重要なのは利用者側の「吐くなら乗るな、吐くほど飲むな」という心がけではあるが……。