◆ アシタバは「不老長寿の薬」なのか、老化防止化合物発見 研究
日本では、少し苦味のあるアシタバの葉が健康にいいと長らく考えられてきたが、このほど発表された研究論文によって、これが科学的根拠に基づくものである可能性が出てきた。
新たに発表された研究では、アシタバに含まれる天然の物質が「細胞の老廃物」除去を助ける重要な作用を促していると考えられるとされた。
細胞の加齢に伴い蓄積する老廃物は、さまざまな病気や障害を引き起こす恐れがある。
オーストリア・グラーツ大学(University of Graz)分子生物科学研究所のフランク・マデオ(Frank Madeo)教授は、AFPの取材に応じ、「医療に関する伝統的な民間伝承の科学的根拠を見つけることは常に素晴らしいことだ」と話した。
今回の研究に関わったマデオ教授によると、アシタバが促す健康作用は「自食作用(オートファジー)」と呼ばれるプロセスで、アシタバに含まれる物質「4,4'-ジメトキシカルコン(DMC)」によって誘発されているのだという。
マデオ教授は、「これは掃除とリサイクルの作用だ」としながら、この作用によって「無用な物質、特に凝集タンパク質などの細胞老廃物」が除去されると説明した。
体の加齢が進む中で、良好な健康状態を維持するためには、この掃除作用が極めて重要となる。
細胞が損傷した部分を適切かつ効率的に除去できないと、それが蓄積してがんなどの病気の原因となる恐れもあるためだ。
いくつかの化合物については、こうした掃除作用を活性化させる働きがあると科学的に証明されている。
断食にもこうした「細胞の大掃除」を自然に促す作用があるとされる。
だが、細胞を保護し時計の針を元に戻す能力を持つ化合物の領域を拡大することを目的に、研究チームは今回、「フラボノイド類」と呼ばれる物質に着目した。
フラボノイド類の多くは、抗炎症特性から脳の変性やがんの予防まで、さまざまなプラス効果を持つ。
実験を進めるにあたって研究チームは、細胞の破壊的な加齢を防ぐ助けとなるフラボノイド類が見つかるかもしれないとの推論を立てた。
その上で、フラボノイドのさまざまな下位分類に当たる化合物180種をスクリーニングで選別し、「加齢に関連した細胞死に対抗できる」自然の能力を持つと考えられる候補を探した。
■細胞を守る働き
最初のスクリーニングを行った後、研究チームはDMCを候補に定め、酵母細胞に対してDMCがどのような影響を及ぼすかを調べた。
その結果、加齢の影響から酵母細胞を守る助けとして、実際にDMCが働いていることを確認することができた。
またその効果についても、ブドウの皮などに含まれるレスベラトロルのように、細胞を保護する作用があるとして評価されている既存の一部化合物と同等かそれ以上であることも分かった。
研究チームは次に、医学研究で広く用いられる実験動物の線虫とミバエの細胞に対するDMCの影響を調べた。
英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された論文には、「特筆すべきことに、DMCの長期投与により、両方のモデル生物の寿命の中央値が約20%延長した」と記された。
追加の実験では、DMCが自食作用を通じてマウスの心臓の細胞を守る助けになることが示され、またエタノール中毒に起因するある種の肝臓損傷を防ぐことも明らかになった。
その他、数種類のヒト細胞に対する影響についても調べた。
すると、ここでもDMCが加齢を減速させる働きをしていることが確認できた。
今回の結果についてマデオ教授は、「この実験はDMCの効果がヒトにも発揮される可能性があることを示している。しかし、ここは慎重になって実際の臨床試験を待つ必要がある」と注意を呼び掛けている。
同教授は、研究はまだ初期段階にあるとしながら、次の段階ではマウスの心臓で確認されたDMCのプラス効果が、加齢や加齢に関連する病気からマウスを守ったのと同じように、さらに広範囲にまで及ぶのかどうかといったことを調べる予定であると説明し、「最終的にはヒトを対象とする臨床試験を行う必要がある」と話した。
AFPBB News 2019年2月21日 17:21
http://www.afpbb.com/articles/-/3212303 .
日本では、少し苦味のあるアシタバの葉が健康にいいと長らく考えられてきたが、このほど発表された研究論文によって、これが科学的根拠に基づくものである可能性が出てきた。
新たに発表された研究では、アシタバに含まれる天然の物質が「細胞の老廃物」除去を助ける重要な作用を促していると考えられるとされた。
細胞の加齢に伴い蓄積する老廃物は、さまざまな病気や障害を引き起こす恐れがある。
オーストリア・グラーツ大学(University of Graz)分子生物科学研究所のフランク・マデオ(Frank Madeo)教授は、AFPの取材に応じ、「医療に関する伝統的な民間伝承の科学的根拠を見つけることは常に素晴らしいことだ」と話した。
今回の研究に関わったマデオ教授によると、アシタバが促す健康作用は「自食作用(オートファジー)」と呼ばれるプロセスで、アシタバに含まれる物質「4,4'-ジメトキシカルコン(DMC)」によって誘発されているのだという。
マデオ教授は、「これは掃除とリサイクルの作用だ」としながら、この作用によって「無用な物質、特に凝集タンパク質などの細胞老廃物」が除去されると説明した。
体の加齢が進む中で、良好な健康状態を維持するためには、この掃除作用が極めて重要となる。
細胞が損傷した部分を適切かつ効率的に除去できないと、それが蓄積してがんなどの病気の原因となる恐れもあるためだ。
いくつかの化合物については、こうした掃除作用を活性化させる働きがあると科学的に証明されている。
断食にもこうした「細胞の大掃除」を自然に促す作用があるとされる。
だが、細胞を保護し時計の針を元に戻す能力を持つ化合物の領域を拡大することを目的に、研究チームは今回、「フラボノイド類」と呼ばれる物質に着目した。
フラボノイド類の多くは、抗炎症特性から脳の変性やがんの予防まで、さまざまなプラス効果を持つ。
実験を進めるにあたって研究チームは、細胞の破壊的な加齢を防ぐ助けとなるフラボノイド類が見つかるかもしれないとの推論を立てた。
その上で、フラボノイドのさまざまな下位分類に当たる化合物180種をスクリーニングで選別し、「加齢に関連した細胞死に対抗できる」自然の能力を持つと考えられる候補を探した。
■細胞を守る働き
最初のスクリーニングを行った後、研究チームはDMCを候補に定め、酵母細胞に対してDMCがどのような影響を及ぼすかを調べた。
その結果、加齢の影響から酵母細胞を守る助けとして、実際にDMCが働いていることを確認することができた。
またその効果についても、ブドウの皮などに含まれるレスベラトロルのように、細胞を保護する作用があるとして評価されている既存の一部化合物と同等かそれ以上であることも分かった。
研究チームは次に、医学研究で広く用いられる実験動物の線虫とミバエの細胞に対するDMCの影響を調べた。
英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された論文には、「特筆すべきことに、DMCの長期投与により、両方のモデル生物の寿命の中央値が約20%延長した」と記された。
追加の実験では、DMCが自食作用を通じてマウスの心臓の細胞を守る助けになることが示され、またエタノール中毒に起因するある種の肝臓損傷を防ぐことも明らかになった。
その他、数種類のヒト細胞に対する影響についても調べた。
すると、ここでもDMCが加齢を減速させる働きをしていることが確認できた。
今回の結果についてマデオ教授は、「この実験はDMCの効果がヒトにも発揮される可能性があることを示している。しかし、ここは慎重になって実際の臨床試験を待つ必要がある」と注意を呼び掛けている。
同教授は、研究はまだ初期段階にあるとしながら、次の段階ではマウスの心臓で確認されたDMCのプラス効果が、加齢や加齢に関連する病気からマウスを守ったのと同じように、さらに広範囲にまで及ぶのかどうかといったことを調べる予定であると説明し、「最終的にはヒトを対象とする臨床試験を行う必要がある」と話した。
AFPBB News 2019年2月21日 17:21
http://www.afpbb.com/articles/-/3212303 .