日本農業新聞
農水省は28日、2017年の農作業死亡事故の概要を発表した。農業就業者10万人当たりの死亡者数は16・7人で、過去最高を記録した前年よりさらに増え、最多を更新した。事故死者数は304人と前年より8人減ったものの、農業就業人口が減少しているため、就業人口当たりの死亡者が増えた。農業の高齢化を反映し、死亡者に占める65歳以上の比率も増えた。
農家の高齢化に対応した対策が急務の課題となっている。10万人当たり死亡者数は全体では16・7人だが、65歳以上に限ると21・2人に上昇。特に80歳以上が4割近くを占め、高齢者の事故死が増える傾向が続いている。
事故死全体の要因を「農機」「施設」「農機・施設以外」に分類すると「農機」が211人(全体の69・4%)と3分の2以上を占めた。乗用型トラクターによる事故は92人(前年87人)でトラクターの転落・転倒による死亡が56人と多数を占めた。歩行型トラクターによる死亡事故は28人(同35人)。挟まれたことによる死亡が13人と突出している。
「施設」事故は13人で4・3%。「農機・施設以外」は80人で26・3%を占めた。17年は、熱中症による死亡者も増え、22人と前年より3人増えている。
65歳未満に限っても、10万人当たりの死亡者は7・9人で、建設業全体の6・5人を上回っており、農水省は「何とか建設業並みに持っていきたい」とする。高齢者対策と併せ、農業法人などでの対策が求められる。
農業就業人口当たりの事故死者数が多い県も公表した。岡山県では就業人口1万人当たり4・14人で、都道府県別で最多。次いで山梨県(3・77人)、鹿児島県(3・37人)、福岡県(3・35人)、長崎県(3・34人)が続いた。
17年の農作業事故の概要は、東京・霞が関の同省内で開いた農作業安全確認運動推進会議で報告した。同省は今年も「まずはワンチェック、ワンアクションで農作業安全」をテーマに掲げ、単なる意識啓発だけでなく、労働環境整備などの具体的な行動をとるよう訴えていく。春の運動は3月1日から5月31日まで。
農水省は13年に350人だった農作業事故死亡者数を、18年には298人にする政策目標を掲げている。

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