トランプ氏、トルコに警告「クルド人攻撃なら経済的大打撃」
シリアへの派遣部隊の撤収を決めたトランプ米大統領は13日、トルコと、
過激派組織「イスラム国」(IS)掃討で米軍とともに戦ったシリアの
クルド人部隊との衝突を回避するため、「トルコがクルド人を攻撃したら、
トルコに経済的大打撃を与える」と自身のツイッターに投稿、経済制裁を
科す可能性をほのめかして警告した。
トランプ氏は、トルコ軍とクルド人部隊の衝突を避けるため、20マイル
(約32キロ)の緩衝地帯設置を提案。クルド人部隊に対してもトルコへの
挑発を抑制するよう求めた。
トランプ氏は昨年12月、「ISとの戦いが終了した」として、シリアに
派遣している米軍部隊の撤収を表明。米国などで構成する有志国連合の
報道官は今月11日に撤収準備に入ったことを明らかにしている。
ただ、米国では与党・共和党を含めて、クルド人部隊を「見殺しにするのか」
との批判が出ている。
一方、トルコはシリアのクルド人部隊掃討のためシリアへの越境作戦を
準備していると伝えられる。トルコのカリン大統領報道官は14日、シリアで
米軍と協力する民兵組織・クルド人民防衛隊(YPG)などは、米国が
テロ組織に指定しているトルコ国内の非合法組織・クルド労働者党(PKK)の
分派だとツイッターで指摘し、クルド人部隊への対決姿勢を改めて鮮明にした。
米国は事態収拾のためボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を
8日にトルコに派遣。だがボルトン氏が訪問直前に「クルド人部隊を攻撃
しないことをトルコが約束することが撤収の条件」と表明したことに
トルコのエルドアン大統領が強く反発、会談を断られた。このため、
ポンペオ国務長官がトルコのチャブシオール外相と電話で協議するなど
調整を続けている。
シリアのクルド人勢力は、トルコの攻撃を懸念してシリアのアサド政権や、
その後ろ盾のロシアに支援を要請したとみられる。トルコの越境攻撃を
主権侵害と見るアサド政権は先月末、トルコ国境に近いクルド人勢力の
要衝である北部マンビジュに部隊を投入するなど、クルド人と「手を組む」
姿勢を見せており、事態は複雑化している。
毎日新聞 【ワシントン会川晴之、エルサレム高橋宗男】
(2019年1月14日 19時56分、最終更新 1月14日 19時57分)
https://mainichi.jp/articles/20190114/k00/00m/030/138000c